麦わら帽子も迷子 ページ6
「お前つえーんだな」
麦わら帽子の男が僕に話しかけてきた。
彼の目には曇りがなかった。
こういう目をした人間はよく人に騙される。
結果として、僕は喧嘩に勝って
男のブローチをぶんどった。
売ればなかなかの値打ちがしそうだ。
今日はよく金が入ってくる。
運のいい日だ。
「…おにーさん、気をつけなよ。ここにはろくな人間なんていないのだから」
「でも、お前は俺を助けてくれただろ？ありがとう」
と麦わら帽子の青年は笑った。
男に絡まれている時の青年の表情からして
大して困ってはいなかった。
それでも人の善意を素直に
受け取れる度量のあるいい男であった。
「僕は…僕はそんなにいいやつじゃないよ」
財布だって盗むし、女を泣かせる。
腹減ってゴミ箱の中身漁って食って
よく腹壊してる惨めな男だ。
らしくもなく人助けなんてして
舞い上がっていた。
道案内くらいで、
暴漢から青年を守ったくらいで
僕の悪行は精算されない。
善の匂いのする青年を目の前にして
僕は逃げ出したくなった。
「なあ、港まで案内してくんねェか？
町歩いてたら船に戻れなくなってよ」
と青年は笑った。
「…港っていったって…どの港のこと？」
「腹のところにでっけェタコの刺青の入った 漁師がいるところ」
知っている男が頭に浮かぶ。
知り合いではないが
変わり者なので島じゃ有名な男だ。
どの港のことを言っているのかわかったので
少し迷ってから、道案内を了承した。
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(名前)(プロフ) - っちゃんさん» ありがとうございます！！がんばります！！！ (4月2日 22時) (
レス) id: 137cf07f9f (このIDを非表示/違反報告)
っちゃん - 楽しいです。頑張ってください！ (4月2日 20時) (レス) @page11 id: e208a5b636 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：(名前) | 作成日時：2024年3月27日 10時
