麦わら帽子の男 ページ5
陽が傾き始めていた。
今日はどこで寝泊まりしようか。
お金ならあるから久々に宿でも取ろうかな。
路地裏で座ってうとうとしてたら
気づいたら朝になっていることもあるし。
身なりのキレイな男や女に取り行って
家に泊めてもらうこともあった。
でも後者の方は後々関係が拗れて
面倒なことになることが多い。
一度女に背中を刺されたことがあるが
医者にかかるための金もないので
本当に死にかけた。三途の川が見えた。
持ち前の丈夫さでどうにか乗り切ったが
しばらくは具合が悪かったし、
傷は当然残っている。
「さわがしいな…」
ちょっとした人だかりができていた。
何が起きているのかを見るために
人と人の間を通り抜けていく。
飯屋で賭け事をしたおっさんと
麦わら帽子の青年が揉めていた。
揉めているというより、おっさんが
青年にしつこく絡んでいるようだった。
おっさんが青年の胸ぐらを掴んだ時
僕は声をかけた
「そんな金にならない喧嘩はやめて
僕と遊んでよ」と。
おっさんは僕の顔を見るなり
さらに顔を歪めた。
このおっさんは僕のせいで不機嫌なのだ。
青年が絡まれているのは
間接的に僕のせいとも言える。
機嫌の良い僕は、青年を気の毒に思った。
それだけ。
おっさんは青年の服を離し
僕の元へと歩いてきた。
「僕と喧嘩しよう。賭け事だと実力に差がありすぎるものな。僕が勝ったらその高そうなブローチをもらう。君が勝ったら、僕の財布に入ってる全財産をやるよ」
全財産といっても約四万ベリーだ。
僕にとっては大金だが、この男にとっては
大したことのない金額だろう。
「金だと？お前が持ってる金なんてたかが知れてる…負けたら命をよこせ、俺も負けたら命をやる」
と男が言うので
「僕の命も君の命もその高価なブローチほどの価値はないだろうよ」
と僕は言った。
男はさらに怒る。
僕はのんきに、
そういえば似たような表情の女に
背中を刺された気がする、と考えていた。
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(名前)(プロフ) - っちゃんさん» ありがとうございます！！がんばります！！！ (4月2日 22時) (
レス) id: 137cf07f9f (このIDを非表示/違反報告)
っちゃん - 楽しいです。頑張ってください！ (4月2日 20時) (レス) @page11 id: e208a5b636 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：(名前) | 作成日時：2024年3月27日 10時
