番外編『出られない部屋』 ページ14
目が覚めたら真っ白い部屋にいた。
窓はなくて、あるのは一つの扉。
「A！」
「ナミ、君も気づいたらここに？」
振り返った先にいたのはナミだった。
彼女は僕の言葉に頷いた。
僕たちは、ここに来た記憶も
この部屋への見覚えもなかった。
2人で頭を抱えていると
上から紙が降ってきた。
僕の頭にひらりと落ちたその紙を
ナミは手に取り広げた。
「キスをしないと出られない部屋？」
僕たちの声は重なった。
ナミは顔を真っ青にしている。
「え、そんなにイヤ？」
「アンタはなんとも思わないわけ！？」
もちろん、目が覚めたら
見覚えのない部屋に居たってことには驚いている。
「でも、狼狽えたってどうにもならねェし…」
と僕が言うと
ナミは何も喋らなくなってしまった。
それからはドアを蹴り飛ばそうとしてみたり
壁を破壊しようと試みたりしたが
ドアも壁も傷一つつかなかった。
僕もナミも項垂れてしまった。
帰れないことの不安や他の仲間への心配から
ナミの表情は暗かった。
僕は言うか言わまいか、数十秒迷ってから
口を開いた。
「一生この部屋に閉じ込められるか、僕とキスするか…どっちのがイヤ？」
ナミはどちらもお断りだというような
顔をしていた。
でも少し考える素振りを見せてから
「…アンタだってこの部屋から出たいだけで、キスしたいわけじゃないもんね。イヤなのはお互い様ってことで…」
と言った。
「いやいや、僕は君みたいなカワイー子とならいくらでもキスしたいけどッ……いたいな」
僕のおふざけがすぎたようで、
ナミは僕の頭を引っ叩いた。
「仕方がなくするのよ、お互いね！わかる？」
「わかったよ……なァ紙にはキスしないと出られない部屋って書いてあったんだよな？」
ナミは頷く。
目の前の彼女をあらためてよく見てみると
バツグンにいい女だと思う。
スタイルはいいし、声も可愛い。
彼女のする服装は僕の好みとは違っているが
似合っているのでどうだっていい。
ナミは身構えている。
僕に今からキスをされると思っているからだ。
僕は片膝をつき、ナミの手を取って口づけた。
彼女は驚いたような顔をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
(名前)(プロフ) - っちゃんさん» ありがとうございます！！がんばります！！！ (4月2日 22時) (
レス) id: 137cf07f9f (このIDを非表示/違反報告)
っちゃん - 楽しいです。頑張ってください！ (4月2日 20時) (レス) @page11 id: e208a5b636 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：(名前) | 作成日時：2024年3月27日 10時
