ルフィ 連れていって ページ8
「私、あなたのこと結構好きよ」
ルフィは隣を見ずに、どうだって良さそうな顔で返事をした。
「冷たいわね」
「だってお前、はじめて会ったときからそればっかりじゃねェか」
一年程前にルフィとAが出会い言葉を交わした日から、Aは彼のことを随分と気に入ってしまったのだ。
「伝えずにはいられないわよ、だってあなたは海に出るのでしょう？」
Aが好きだと、言い続けるのは会えなくなる日が来ることをわかっているからだ。ルフィが海賊王を目指していることを知っているからだ。
正直な話、Aはルフィの船に乗せてほしいと思っている。連れていってほしいと言いたい、言いたいけれど、言えない。
何故って、Aは広い世界にも海賊にも、興味がないのだ。一緒にいたいから連れて行ってほしいだなんて、真剣なルフィに失礼だと。海賊に対する、熱意の差。これが、言い出すことのできない最大のわけだ。
いや、言い出すことのできない、とは少しばかり違う。甘い考えで、ルフィと共にいようとする自分を抑制しているのだ。そのような愚考では、隣に立つ資格がないと。だから、言い出すまいと堪えているといった方が正しい。
近いうちにくる別れの日を思い浮かべたおかげで、Aは寂しくなった。それを紛らわすように、足元の花を摘む。花は好きだが、そこらへんに転がっている花を当てられるほど詳しくはなかった。
「ルフィ」
「なんだ」
「私、あなたのこと、結構好きって言ってたけど、そんなに軽いものじゃないのよ」
手元の花をクルクルと回しながら言った。
「じゃあどんなのだ」
「…わかってるくせに」
鈍いフリでもしているのか、彼にかぎってそんなことはないのだろうけど。
「言いてェんじゃねェのかよ」
「やぁね、言わずしてわかってくれるなら、それでいいのよ」
立ち上がって、ルフィにキスをした。
「あなたって夢の為なら死ぬことも厭わないのでしょうね。私はそれが嫌なのよ。別に海に出ないでずっとここにいてなんて我儘は言わないわ。せめて生きてここに戻ってきてほしいの」
こんなにきちんと気持ちを伝えたことはなかったA。
「これは約束なんかじゃないわ。あなたに恋する、ひとりの女からのお願いよ」
手の中の花を捨ててから、そっと抱きしめてそう言った。ルフィに手をまわして抱きしめ返してもらうだけで、Aは満たされた。
別れが来たとき思い出が色あせる前に会いたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
(名前)(プロフ) - マルマインさん» コメントありがとうございます。マリコさんのコメントは返信に悩むところもあり、正直な話、困っていたというのも事実です。それもあってあなたのコメントは私にとってとても嬉しいものでした。ご心配いただきありがとうございます！ (2021年12月29日 20時) (
レス) id: 137cf07f9f (このIDを非表示/違反報告)
マルマイン - (名前)さん» 作者様すみません。マリコさんという人、以前からああいう滅茶苦茶なリクエストを出しては相手の作者様を困らせるというのを何度も繰り返してる人なのでお気をつけ下さい。 (2021年12月29日 14時) (レス) id: b7b0607f35 (このIDを非表示/違反報告)
マルマイン - マリコさん» あなたまたですか…以前から何度も同じ事してますよね。全然違う界隈で滅茶苦茶なリクエストをするのはただの迷惑行為ですよ。何度も注意されてるのに何故やめられないんですか？ (2021年12月29日 14時) (レス) id: b7b0607f35 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - マリコさん» 返信ありがとうございます。私がプリキュアに関しての知識がなかっただけの話です。あなたが悪いわけではありませんし、あまりお気になさらないでください。ご期待に沿うことはできませんが、コメント自体はとても嬉しかったです！ (2021年12月29日 12時) (レス) id: 137cf07f9f (このIDを非表示/違反報告)
マリコ - (名前)さん» すみません余計な事を書いたりしてそしてヒロインがプリキュアに変身すればルフィ達が助かるかな思って書いたです本当にごめんなさい次から気をつけますのでよろしくお願いします。 (2021年12月29日 11時) (レス) id: d96e811aad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：(名前) | 作成日時：2021年12月20日 19時
