15話 ページ17
いきなりではあったが、
サンジくんを自宅に招いた。
荷解きもしていないため、
段ボール以外家には何もない。
けれど他にサンジくんと
ゆっくりお話ができるところなんて
思いつかなかったのでね。
「ちょっと待ってね今椅子出すからさ」
「手伝おうか？」
「じゃあそこのハサミ取って、
…ん、ありがとう」
大きめの段ボールから
椅子を二脚取り出してサンジくんに渡す。
「飲み物持ってくるね、ゆっくりしてて」
九年の成長ってすごいね？
目を合わせるのに苦労するほどの身長差はもうなく、なんだか少し寂しい気持ちになってしまう。
サンジくんが成長すること自体は嬉しいのだ。
ただ、サンジくんが
身近な存在じゃないような気がしてならない。
多分見てわかる変化が大きいからなのかな。
背は伸びていたし、髭なんてはやして
スーツの似合う男になっていた。
「紅茶飲める？
さきに聞いておけばよかったね」
「飲めるもなにも好物さ」
「それは良かった」
声、変わったな。
記憶の中のサンジくんは幼いままだからか、
どうも慣れない。
あと、なんだか匂いも変わったような。
「ちょっとごめんね」
近寄って、首元の匂いを嗅ぐ。
「Aさん？あの…」
数センチの距離で目が合う。
サンジくんの目は大きく見開いていて
動揺しているのが見て取れる。
「あ、ごめん、」
「いや、大丈夫だよ」
離れて、顔を見ると
今まで見たことがないくらいに
真っ赤になっていた。
あぁ、これ距離感を見誤ったってやつだ。
「配慮に欠けてたね、次からは気をつけるよ」
「気を許してもらえているみたいで
少し嬉しかったよ
嫌だとは思ってないから…本当」
たじたじになりながら、頬を染めながら、
私の目をしっかり見て伝えてくれる。
その姿がどうしようもなく可愛らしい。
あと
「気は許してるよ」
緩みすぎて困るくらいにね。
「ねぇ気になったんだけど
サンジくんって普段煙草吸ってる？」
「吸ってるけど、臭かった？」
「ううん、そんなことない。
家でも吸いたかったら吸っていいからね煙草
私も吸うし」
「え、Aさんも？
知らなかったな」
私が煙草を吸うようになったのは最近だし、
人前では吸わないから、知らないのは至極当然だ。
「知ってる人、サンジくん以外にいないかも」
「じゃあおれAさんの特別だ」
「！そうだね、特別」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 722人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
(名前)(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！！どうにか完結させることができて安心しています笑 (2023年1月27日 0時) (
レス) id: 137cf07f9f (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても素敵な作品でほっこりさせられました笑 ゆっくり休んでください。お疲れ様でした。 (2023年1月26日 22時) (レス) @page40 id: a02d2f131a (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - ようなしさん» コメントありがとうございます！返信が遅れてしまい申し訳ありません。筆が進まず更新できていませんでした…本当に申し訳ないです…。応援ありがとうございます、これからも頑張ります…！ (2023年1月21日 23時) (レス) @page35 id: 137cf07f9f (このIDを非表示/違反報告)
ようなし(プロフ) - サンジが自分の前でだけ少し子供っぽい1面見せるけど、でもスマートでかっこよく成長してるって感じがすごく好きです！！応援してます！どうか無理だけはなさらないようにしてください…こうひん楽しみにしてます♫ (2022年8月26日 1時) (レス) @page33 id: 963a4ca749 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます！返信が遅れてしまってすみません…。面白いと言っていただけて嬉しい限りです…！ (2021年10月22日 11時) (レス) id: 137cf07f9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：(名前) | 作成日時：2021年8月24日 23時
