8話 ページ8
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＿＿＿FFI予選第一試合当日。
あの夜、わたしは利き手とは逆の左手を捻挫した。一緒にいたみんなはわたしを守ろうとしてくれたけどみんなも怪我しちゃってるし…心配されるのは嬉しかったけどそこまで大した怪我でも無い(と思っていた)
けどやっぱりマネージャーの仕事には支障がありすぎた。重いものを運んだり記録を取ったりするのに左手が使えないと意外と不便なもので、また物を落としそうになってしまう。
『あ、っ』
「おいおい、大丈夫なのかよ」
『大丈夫だもん…』
吉良くんに言われて自然と瞳に涙が溜まっていく。わたしってこんなに弱虫だったっけ、なにかが出来なくて必要とされなくなるのが怖いだけでこんなにダメになっちゃうの？
このままじゃ本当にただの"お飾り"になっちゃう…嫌、いや、絶対にいや。
「綿枷さん、本当にごめん。俺達がしっかりしていなくて…」
『ううん、わたしだって自分の身は自分で守るべきだったのに…ごめんなさい、大切な試合前に心配かけちゃって』
「でも…」
『大丈夫だからねっ！わたしの事は気にしないで、氷浦くんはスタメンとして頑張ってねっ』
「……うん、ありがとう。頑張ってくる。」
綿枷さんの為にも勝ってくるよ。
そう言って氷浦くんはわたしの頭をひと撫でしてスタメンの輪に入っていく。え、今のはドキドキした…わたしの涙目通じないタイプか、氷浦くんは。
「おい、わたあめ」
『わたあめ……？わたしは綿枷だけど、』
「それ寄越せ」
寄越せ、と言われるとわたしが持っている沢山のタオルしか思い当たらない。けれどこれはわたしの仕事だから吉良くんに渡すわけにはいかない。
『だめ、これはわたしの仕事なの。もう終わるし吉良くんは座ってて？』
「……吉良くんってやめろ、キモいんだよ」
『え』
今まで苗字で呼んでそんな事言われたこと無かったのに、じゃあ名前で呼べって事？そんな事したらみんなを名前で呼ばないとじゃん……あ、そうだ。
『あの……は、恥ずかしいから、ふたりの時だけでいい…？』
「仕方ねえな、じゃあ今呼べ」
『…ひ、ヒロト、くん』
恥ずかしがりつつ照れくさそうに名前を呼ぶと少し頬を染めながらフッとご満悦な表情をしてベンチに戻って行った吉良くん。
はい、成功。
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続く
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詩乃(プロフ) - こめこさん» こんにちは、記載通り此方は先に作った方が一切編集出来なくなった為新しく作り直したものです。何か問題が御座いましたら仰って頂けますと助かります。 (2020年5月14日 14時) (
レス) id: b46bd2f397 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ - 同じ作品が二個あるんだけどwww (2020年5月14日 14時) (レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩乃 | 作成日時：2020年5月14日 14時
