研究の秘匿5 ページ6
焔の錬金術に固執する兄の苛立ちは徐々に加熱していく。おもむろに胸ポケットから錬成陣の描かれたペンダントを取り出して右手に巻き付けた。
｢俺がこの焔の錬金術を会得すれば、グランディウス家の跡取りはこの俺だ!｣
兄は作業台の上にあった鉄製のスタンドライトをペンダントを巻き付けた手で掴み、即席の鉄砲に錬成した。
銃口と目が合う。冗談のように恐ろしい。恐怖で声さえ凍りそうだった。
冗談であってほしかったがどうやら、兄は本気だ。そこまでして、グランディウス家当主の座が欲しいらしい。
｢解読を｣
銃を向けられては抵抗の仕様も無かった。不服に感じながらも、ダリアは無言で頷いた。
｢書類に纏めて明日の朝お渡しします。集中したいので退室して下さい｣
…☆…
兄が部屋から出て行き、解読を求められた研究書を手にダリアは立ち尽くす。
まさか兄から銃を向けられようとは。
まあ、もともと兄は人の痛みを知らない人間と言うか、ドメスティックバイオレンスという言葉に相応しい人間ではあった。
一度は兄に協力する姿勢を見せたが、元よりダリアに協力するつもりは一ミリもない。
焔の錬金術を悪用される事は絶対にあってはならない。それこそ、マスタングにあわせる顔が無くなるというものだ。
ダリアは大急ぎで焔の錬金術に関する研究書や資料を全てかき集めて、作業台の上に置く。
続いてフローリングにチョークで錬成陣を描いていく。大きく細かく、なるべく丁寧に描きあげた。
｢……よし｣
久々にしてはなかなか上手く描けたと思う。
作業台の上にある書類全てを、描いた錬成陣の上に乗せた。
｢どヘタクソな錬金術も使いよう、ってね…!｣
ダリアは両手をぺたりと錬成陣に着ける。
練成光がダリアのまる四年分の努力の結晶を包んでゆく。
惜しいなんてことは、ない。
光が鎮まると、研究書と資料の山は
不可逆圧縮して廃棄するつもりだったが、結果オーライだ。こんな綿状のゴミになったからには、解読も修復も不可能なのだから。
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とむら(プロフ) - すごく面白いです！あの、設定でのイメ画ってウィワクシアさんが描いた絵ですか？なにかのアプリで描いた？ものならそのアプリって教えていただけないでしょうか？ (2017年12月31日 22時) (
レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - 松本鈴香さん» ご感想ありがとうございます。初めてコメントを付けて頂けてとても嬉しいです。今後の励みとさせて頂きます。 (2017年6月11日 8時) (レス) id: 953d5472a5 (このIDを非表示/違反報告)
松本鈴香(プロフ) - ロイさん好きなので良かったです(*>ω<*) (2017年6月1日 0時) (レス) id: 2ed850d9b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウィワクシア･D | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時：2017年3月6日 22時
