父子と大犬5 ページ43
「うーん、そっか……」
遊びたい盛りの子供がいつも一人で留守番ではさぞ寂しかろう。
ダリア自身がニーナ位の年の頃はマスタングに出会う前だったし、家族が遊んでくれる筈もないので、本だけで孤独を紛らわせていた。
だからかもしれない。まだ家の中が世界の全てであるニーナをこのまま放っておく事は出来なかった。
「じゃあ、ニーナちゃん! おじさんが帰ってくるまで一緒に遊ぼうか」
「ホント?!」
ダリアの提案を聞いてニーナははち切れんばかりの笑顔になる。
一緒に遊べると聞いてニーナはハイテンションでダリアの手を引いて庭に飛び出して行った。
…☆…
外に出ると、空はどこまでも青く晴れ渡っていた。ニーナは繋いでいたダリアの手を離して勢いよく走り出す。
「お姉ちゃん鬼ね!」とニーナが言った事から、ダリアの返答を待たずいきなり鬼ごっこが始まった。ダリアは元気に逃げ回るニーナを転んでしまわないよう見守りながら加減して追いかける。
そして、なんの恨みだろうか。気が付くといつの間にやらダリアの後ろに白い犬が舌を出しながら全速力で付いてきている。ニーナを追いながら犬に追われる二重追い駆けっこが始まってしまった。
「待って待って待って! 落ち着くんだ犬! 怖いから!!」
さらには途中からニーナがアレキサンダーに乗ってしまったのでもう防戦一方である。
「やっちゃえアレキサンダー!!」
「チキショー! 君たちはグルかぁーー!!」
…☆…
ダリアは大犬のアレキサンダーに追いかけ回された事により、途中でバテて捕まってしまった。ここに来た時のエドの様に踏み潰されてダリアは現在、芝生の上で伸びている。子供相手だからとタカを括っていたのがまずかった。
「……何してるの? ダリアさん」
頭上から反響した声が聞こえてきて、ダリアはがばっと顔をあげる。
顔を上げるとアルフォンスがダリアの傍に立っていた。外で騒がしくしていたからか、様子を伺いに来たらしい。
「あーええっと、厳密に言えばサボりではありませんよっ?!」
何とか言い繕おうとするダリア。するとニーナが駆け寄ってきてアルの手を握った。
「鎧のお兄ちゃんも一緒に遊ぼう?」
ニーナの天使の笑みという不可抗力により、サボり共犯者が一人増えた。
104人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とむら(プロフ) - すごく面白いです!あの、設定でのイメ画ってウィワクシアさんが描いた絵ですか?なにかのアプリで描いた?ものならそのアプリって教えていただけないでしょうか? (2017年12月31日 22時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - 松本鈴香さん» ご感想ありがとうございます。初めてコメントを付けて頂けてとても嬉しいです。今後の励みとさせて頂きます。 (2017年6月11日 8時) (レス) id: 953d5472a5 (このIDを非表示/違反報告)
松本鈴香(プロフ) - ロイさん好きなので良かったです(*>ω<*) (2017年6月1日 0時) (レス) id: 2ed850d9b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ウィワクシア・D | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時:2017年3月6日 22時