父子と大犬2 ページ40
タッカー邸に訪れた四人は、ひとまずグレイトルームに招かれた。
部屋の中は足の踏み場もない、という程ではないが、至る所に物が散らかっていた。
｢いやぁ、本当に申し訳ない。妻に逃げられてから家の中もこの有様でして｣
そう言ってタッカーは床に散らばる本を拾い集める。四人の後ろから付いてきたニーナは、部屋の隅で物珍しそうに一同を見つめていた。
｢どうぞ、そこの椅子に掛けて下さい｣
タッカーに促され四人はテーブルの側の椅子に座る。拾い集めた本を一箇所に積むと、タッカーも対面する椅子に腰掛けた。
｢改めて、初めましてエドワード君。綴命の錬金術師ショウ･タッカーです｣
色褪せた笑みでエドワードを見据えるタッカー。
｢話は聞かせて頂きました。生体錬成に興味があるんだってね。そこのお嬢さんも同じかい?｣
ダリアはタッカーに尋ねられ黙って頷く。
｢では何故、君たちは生体錬成について知りたいんだい?｣
陽光に眼鏡を怪しく光らせるタッカーは静かに問うた。
すかさずマスタングがエドワードを庇うように口を挟む。
｢いえ、彼は――｣
そう言いかけたのをエドワードが右手を上げて制止する。
｢いいよ。大切な研究を見せてもらうんだ、きちんと話すさ｣
兄弟やマスタングの様子にダリアは眉を顰める。一体この兄弟にどんな秘密があるというのか。
重々しい空気を感じ、タッカーは部屋の中にいるニーナに優しく声を掛ける。
｢ニーナ、お外で遊んでおいで｣
｢……うん、わかった｣
ニーナは何か言いたそうだったが、不満を隠して立ち上がり庭へと走って出ていった。
｢あの、私も退席すべきですか?｣
その小さな背中を見届けた後、ダリアは恐る恐る手を挙げる。
｢ホントは聞かない方が良いんだろうけどな｣
エドワードはそう言うと、おもむろに右手の手袋を外し袖を捲った。
その右手は彼の物でありながらもそうではない、鋼の義手
その後エルリック兄弟は、母親の人体錬成を試みた事や、それによって失った兄弟共に体の一分ないし全部を取り戻す方法を探している事を話した。
ダリアは言葉を失う。たった十一歳と九歳の子供が人体錬成を行い、その上生き延びることができたなんて。もしダリアがそんな事をしたならば、リバウンドで即死間違いなしだ。
兄弟の壮絶な過去を知り、ダリアはもちろん質問したタッカーすら黙り込んでしまった。
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とむら(プロフ) - すごく面白いです！あの、設定でのイメ画ってウィワクシアさんが描いた絵ですか？なにかのアプリで描いた？ものならそのアプリって教えていただけないでしょうか？ (2017年12月31日 22時) (
レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - 松本鈴香さん» ご感想ありがとうございます。初めてコメントを付けて頂けてとても嬉しいです。今後の励みとさせて頂きます。 (2017年6月11日 8時) (レス) id: 953d5472a5 (このIDを非表示/違反報告)
松本鈴香(プロフ) - ロイさん好きなので良かったです(*>ω<*) (2017年6月1日 0時) (レス) id: 2ed850d9b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウィワクシア･D | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時：2017年3月6日 22時
