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東方司令部4 ページ32

執務室に訪れた人物はエルリック兄弟ではなかった。

「失礼するよ」

「グラマン中将!!」

 マスタングが声を上げるとダリアは驚いて部屋に訪れた老将を見る。お付の軍人を連れた白い髭をたくわえた丸眼鏡の将軍はダリアの姿を見つけると鋭い目で見つめる。

グラマンといえば東方司令部の長にしてかつてのグランディウス家のお得意様でもある。ダリアも幼い頃に何度か顔を合わせた事があった。

 嫌な予感が的中してダリアは体が凍り付き動けなくなる。いくらマスタングが大佐で目下の者にダリアが来ると話を通したとしても、将軍にバレては都合が悪い筈だ。ましてや此処は執務室。軍の機密も扱うことのあるこの部屋に一般人が紛れ込んではダリアはもちろん、看過したマスタングですら立場が危うくなる。

「ダリア・グランディウスちゃんだね?」

 グラマンはダリアをフルネームで呼んだ。素性がバレている、とダリアは震え上がって か細い声で「はい」と返事をした。

…☆…
 その後、てっきりつまみ出されると思っていたダリアだが、何故か案内された場所は将軍の部屋。グラマンはお付の軍人は室外へ控えさせダリアとグラマンだけが向かい合って座っている。
 室内にはグラマンの趣味なのか、妙な異国の品が幾つか置いてある。座ればどこまでも沈んでいきそうなソファが逆に落ち着けず、ダリアは将軍を目の前にしてただ大人しくしていた。

「いやぁ、驚かせて済まなかったね。実は君の事情、聞いてるんだよね」

 グラマンが飄々と告げるその言葉にダリアは耳を疑った。自分の事情を何処まで把握されているのか、それを一体誰から聞いたのか。

「この間君の葬儀に出てきたのに、数日の内にこうして会えるとは思わなんだよ。おおきゅうなったのう」

「葬儀、ですか?」

 ダリアが聞くとグラマンは頷いて話を進める。

「そうそう。君、失踪から戻ってすぐに屋敷の離れの火事で逃げ遅れて亡くなったことになってるよ。酷い話だねぇ」

 自分の死亡扱いに関しては腑に落ちた気分だった。今までも実家には見つからないよう隠れて行動してきたダリアだが、遂に存命人物ですらなくなってしまったらしい。

…☆…
 グラマンの話を聞く限り、彼はグランディウス家そのものに対してはあまりいい感情は持っていないらしい。

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設定タグ:鋼の錬金術師 , ロイ・マスタング , 市販書き(二次創作)   
作品ジャンル:恋愛
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とむら(プロフ) - すごく面白いです!あの、設定でのイメ画ってウィワクシアさんが描いた絵ですか?なにかのアプリで描いた?ものならそのアプリって教えていただけないでしょうか? (2017年12月31日 22時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - 松本鈴香さん» ご感想ありがとうございます。初めてコメントを付けて頂けてとても嬉しいです。今後の励みとさせて頂きます。 (2017年6月11日 8時) (レス) id: 953d5472a5 (このIDを非表示/違反報告)
松本鈴香(プロフ) - ロイさん好きなので良かったです(*>ω<*) (2017年6月1日 0時) (レス) id: 2ed850d9b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ウィワクシア・D | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/  
作成日時:2017年3月6日 22時

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