東方司令部1 ページ29
マスタングに雇われて数日が経過した。
あれからダリアは、忙しく働くマスタングの代わりに家事全般を受け持っている。
先日までは酒場の店員も掛け持ちしていたが元々怪我をした女将の娘さんが退院するまでの期間付きの契約だったので、娘さんが退院した後、任期満了という形で解雇された。
最近わかった事としては、ダリアの食事は流動食を一日数回に分けて摂ればどうやら吐き気も起こらないらしい。今は少しずつ食べる量を増やすよう調整していっている。
そして、合成獣になった影響か、日光など強い光が苦手になってしまったということが判明した。それでも、依然として何の動物が元になったかはわからないままだ。
今日はマスタングは仕事の日で、ダリアは今一人 自室で組立式のベッドを組み立てていた。マスタングが仕事に出かけてから、家に配達屋さんが来て、二つの荷物が届いたのだ。一つはこのダリア用ベッド。朝からコレが届く事は聞いていたのでこうして自室で組み立てている。
そしてもう一つの荷物は、開けて中身を確認した後 見なかったことにして居間に置いておいた。
ダリアが組立てに使った工具を片付けようと工具箱を探していると、不意に居間の固定電話が鳴り響いた。
ダリアは立ち上がって、マスタングに掛かってきたであろう電話を自分が取っても良いのか悩みながら受話器を取った。スピーカーから雑音混じりの声が語りかけてくる。
「もしもし、ダリア。贈り物は気に入って貰えたかね?」
声の主はマスタングだった。電話の向こうからザワザワと他の人の声も小さく聞こえてくる。仕事中に掛けてきているらしい。
「あ、マスタングさん。新しいベッドをありがとうございます。丁度今組み立てて終わったところですよ」
「もう片方は見たか?」
少しマスタングの声のトーンが上がった。もう片方とは居間に置いてあるあの荷物だ。マスタングとは対象的にダリアのトーンは下がる。
「アレはもしかしなくても私宛ですか」
茶色い包をちらりと見やる。マスタングは漫然と答えた。
「当然だろう。メイド服なんだから」
マスタングが最初に日用品を買ってきてくれたあの日、妙に機嫌が良かったのはこれを注文したからだったのだろう。
「いつ何の罰ゲームで着ろと仰るのですか」
ダリアが青筋を立てて尋ねると握りしめた受話器から弾んだ声が返ってくる。
「いつと言わず毎日来て欲しいのだがね」
「あんなフリッフリの服装で仕事出来るわけないでしょうが!!!」
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とむら(プロフ) - すごく面白いです!あの、設定でのイメ画ってウィワクシアさんが描いた絵ですか?なにかのアプリで描いた?ものならそのアプリって教えていただけないでしょうか? (2017年12月31日 22時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - 松本鈴香さん» ご感想ありがとうございます。初めてコメントを付けて頂けてとても嬉しいです。今後の励みとさせて頂きます。 (2017年6月11日 8時) (レス) id: 953d5472a5 (このIDを非表示/違反報告)
松本鈴香(プロフ) - ロイさん好きなので良かったです(*>ω<*) (2017年6月1日 0時) (レス) id: 2ed850d9b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウィワクシア・D | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時:2017年3月6日 22時