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使用人爆誕1 ページ26

ダリアはポタージュを休憩を挟みながらやっと飲み終えた。遅い昼食だった筈が、早い夕食になるくらいに完食するまで時間がかかった。
 マスタングはまだ帰ってこない。なにか含みのある笑いを浮かべてどこかへ行ったようだが。

 とりあえずは食器を洗うことにする。思いつきで雇ってほしいと頼んでみたがこうもあっさり承諾されるとは思わなかった。余程仕事の方が忙しいとみえる。とにかく、雇用してもらったからには賃金に似合う働きをしなくてはならない。
 ダリアは気合を入れて家事に励んだ。

 皿洗いを終えて、暇になったので居間と浴室の掃除をする事にした。普通にしていると気が付かないが、注目してみると意外と埃や塵、汚れは何処にでも潜んでいる。段々楽しくなってきて、ついつい色々な所を掃除したくなったが、寝室と書斎は放っておく事にした。こういった特に個人的な空間は頼まれない限り触れないのが無難だと判断したからだ。

「あんまり深く考えてなかったけど……
自分自身の住む所を心配しなくて大丈夫なのかな?」

 家政婦とは住込みなのだろうか、という疑問が頭に浮かんだ。通いならこのアパートに近い所を探して給料が入り次第 住めるようにしなくてはいけない。家事とは、朝から晩までやろうと思えば終わりのない仕事だ。正直なところ住込みの方が楽ではある。しかし、それは傍から見れば……。

「同棲と変わらない、ですよな……?!」

 そういう思考に至った自分が恥ずかしくなった。ダリアは頭を抱えて唸る。
 そうだ、マスタングはただの幼馴染みで家族より家族らしく過ごしてきた人。久々に会えて舞い上がっているがそういう仲では決してないのだ。歳もかなり離れているし。

「そうだよ、落ち着こうじゃないか自分! こんな時は歌でも歌おう! うん!!」

 ダリアは少し懐かしい楽曲を口ずさんで先程までの思考を強制終了させる。『君の手で切り裂いて』まで歌って途中歌詞が分からなくなり鼻歌に切り替えた。時々音が外れているがここには自分一人しかいないので気にしない。サビに入ってノリノリになってきたダリア。

――その時。

「個性的な歌だな、知らない歌かと思う程に」

 図ったかのようにマスタングが帰ってきた。「声は可愛らしかったが」と付け加え それはそれは楽しそうにニヤけている。

「ヒェェーー!!」

 一方ダリアはというと先程までの楽しい気分から一転 羞恥心で顔面蒼白になり、全く可愛げのない奇声にも等しい息吸い声をあげた。

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設定タグ:鋼の錬金術師 , ロイ・マスタング , 市販書き(二次創作)   
作品ジャンル:恋愛
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とむら(プロフ) - すごく面白いです!あの、設定でのイメ画ってウィワクシアさんが描いた絵ですか?なにかのアプリで描いた?ものならそのアプリって教えていただけないでしょうか? (2017年12月31日 22時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - 松本鈴香さん» ご感想ありがとうございます。初めてコメントを付けて頂けてとても嬉しいです。今後の励みとさせて頂きます。 (2017年6月11日 8時) (レス) id: 953d5472a5 (このIDを非表示/違反報告)
松本鈴香(プロフ) - ロイさん好きなので良かったです(*>ω<*) (2017年6月1日 0時) (レス) id: 2ed850d9b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ウィワクシア・D | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/  
作成日時:2017年3月6日 22時

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