不吉な噂話2 ページ17
そしてダリアと元･使用人の話題は、兄の近況へと展開した。
ここ数年の間、兄は軍の極秘兵器開発の研究に携わり、飛躍的に技術が進歩しているらしい。
｢兵器……? 何の研究なんです?｣
｢わたくしも詳しくは存じ上げませんが、人間の戦闘力を飛躍的に高める生物兵器なのだとか。屋敷の使用人たちの中には、研究室から響く魔物のような恐ろしい声を聞いた者もいいるとか｣
｢なっ……!?｣
ダリアは思わず絶句した。
その兵器とやらには覚えがある。かつて兄が実用化しようと研究して断念した、人間の
しかし合成獣の能力の再現度の低さや、耳や尾など普段の姿の違和感が課題となり、研究は膠着状態だったはずだった。言い方は悪いが、傲慢で他人の意見を全く取り入れなかった兄に務まる仕事とは思えない。
｢……あ｣
｢どうかなさいましたかダリア様｣
｢あの、私の研究室に残った資料ってどうなったかわかりますか｣
昔の事なのですっかり忘れていたが、焔の錬金術の前に、ダリアも生態練成の研究をしていた事があった。研究室には、変身能力を備えた合成獣の理論を、組み立てたときのレポートが残されているかもしれないのだ。
｢ダリア様の研究室の物でしたら、六年前のあの日のすぐあとに全て貴女のお兄様がご自分の研究室に移動させていましたよ｣
あの兄ならそういう下賎な手も使うのだろうと想像はしていたが、研究室のもの根こそぎとは。だが、何よりダリアにとって腹立たしかったのは自分の迂闊さだった。
また、自分の勝手のせいで人が死ぬ。
なにしろ人体実験を行うのだ。もう犠牲者だって出ていてもおかしくない。
ダリアは、かつて自分が飛び出した屋敷に向かうことを心に決めた。かつてダリア自身が記した研究書と愚かな兄の画策を抹消するために。
…☆…
五時に店が閉店し、ダリアは仕事を上がって一度マスタングの家に戻る。
約束通り夜には戻れそうだが、念のため書き置きをして行くことにした。
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とむら(プロフ) - すごく面白いです！あの、設定でのイメ画ってウィワクシアさんが描いた絵ですか？なにかのアプリで描いた？ものならそのアプリって教えていただけないでしょうか？ (2017年12月31日 22時) (
レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - 松本鈴香さん» ご感想ありがとうございます。初めてコメントを付けて頂けてとても嬉しいです。今後の励みとさせて頂きます。 (2017年6月11日 8時) (レス) id: 953d5472a5 (このIDを非表示/違反報告)
松本鈴香(プロフ) - ロイさん好きなので良かったです(*>ω<*) (2017年6月1日 0時) (レス) id: 2ed850d9b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウィワクシア･D | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時：2017年3月6日 22時
