晩冬の夜に4 ページ11
橙色の街灯が照らし出す綺麗に舗装された道を二人で歩く。
女将の判断は正解だった。椅子に座っている時は何ともなく見えたマスタングだが、歩いてみると結構ふらついている。仕方なくダリアが肩を貸すことになった。
マスタングの方がダリアより遥かに背が高いし重い。密着して歩くことでダリアの肩にマスタングの火照った熱が直に伝わってくる。
「君の家は、この近くなのか?」
ダリアの頭の上で少し掠れたようなマスタングの声がした。
「家はありません。その日その日で一夜を過ごす場所も変わりますね」
「そうなのか? ……じゃあ今日は?」
酔っているからか、答えるのに抵抗のあるような質問を遠慮なくしてくるマスタングにダリアは少し困ったような顔で答える。
「今日のお宿は路上です」
給料の支払いが明日なので、今日までは仕方がないのだ。マスタングが急に足を止める。何事かと彼の方を見上げると、捨て犬を見るような目でこちらを見つめていた。
「な、なんですかその目は」
密着して歩いていたので顔が近い。ダリアは急に恥ずかしくなって顔をそむけるようにして前を向く。
するとマスタングがダリアの耳元で吐息混じりに低い声で囁いた。
「……うちの家に来ないか? 一晩くらいなら止めてやっても良いぞ?」
ダリアはぞわっとして驚く。しかしそれが本当ならダリアにとってはこれ以上なく有難い申し出だった。
「いいんですか?! ……え、ほんとに行っちゃいますよ?」
ダリアの反応を楽しむように含み笑いを浮かべてまた歩き出した。
「構わないさ。君さえ良ければついておいで」
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とむら(プロフ) - すごく面白いです!あの、設定でのイメ画ってウィワクシアさんが描いた絵ですか?なにかのアプリで描いた?ものならそのアプリって教えていただけないでしょうか? (2017年12月31日 22時) (レス) id: fe1253ce58 (このIDを非表示/違反報告)
ウィワクシア(プロフ) - 松本鈴香さん» ご感想ありがとうございます。初めてコメントを付けて頂けてとても嬉しいです。今後の励みとさせて頂きます。 (2017年6月11日 8時) (レス) id: 953d5472a5 (このIDを非表示/違反報告)
松本鈴香(プロフ) - ロイさん好きなので良かったです(*>ω<*) (2017年6月1日 0時) (レス) id: 2ed850d9b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウィワクシア・D | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時:2017年3月6日 22時