風の思い出6 (ページ1)

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26話ページ1

ぼくは女性と家の近くの喫茶店にいた。

女性は倉橋と名乗り、そしてどうやら中学校の教師をしているらしい。

最初は何気ない話ばかりをしていて、ぼくはどう返事していいかも分からず聞いていた。

だが、彼女は窓を眺めて何かを思い出すような表情を浮かべたあと先ほどまでとは違い、悲しげに話始めた。

『私ね…生徒といけない関係になった事があるの…』

『その生徒は頭も良くて友達も多くてね…私も教師として期待してたわ…』

ぼくは女性の話をただ黙って聞いていた…。

『でもその生徒から告白されてね…最初は教師として拒んだけど…彼には何処か惹かれるものがあって結局は受け入れたの…でもそれが間違いだったわ…』

彼女は自身の手を握りしめた…。

『彼と付き合ってからしばらくして…私妊娠したの…でも彼は喜ばなかった…でも彼はまだ学生だし仕方ないと思ってからそれは構わなかった…』

『だけど…数日してから彼の両親が私に会いにきたの…お腹の子をおろすようにね…私は1人で育てるつもりだったし拒んだ…お金を積まれてもね…』

『でもある日、仕事の帰り道に男達に襲われたわ…無理やりされてね…結局、お腹の子は流産…私は彼に悲しみを伝えたかったけど彼は私が入院中に転校して、私の口座には多額のお金が振り込まれていたわ…』

『私を襲った犯人は捕まってつい出来心でしたなんて自白したらしいけど…私は彼の両親が仕組んだって思ってる…』

彼女は話終えるとコーヒーを飲み、ぼくに一枚のメモを渡してきた。

『急に変な話をしてごめんなさいね？でもまた私と会ってくれる気になったら連絡してね』

彼女はそう言って席を立ち、お会計をして喫茶店を出て行った。

残されたぼくはメモを取り、見てみるとそこには電話番号が書かれていた。