流れる星を見逃さないで

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〆．



「そういえば今さらだけど、流星は私と同い年なんだね」


「ほんまに今さらやな、せやで」


二階から荷物をおろしながら、おしゃべり。


「絶対年上だと思ってたのに」


「若い、俺」


「そりゃそうだけど」


「でも俺が何歳やったとしても、きっとAに恋してたと思う」


流星があざとく、階段下から私を見上げる。


「………一歩間違えたらロリコンか」


「こら」


立ち止まり、む、と睨んでくる流星。


………かっこいいなぁ。


「Aちゃん、疲れたやろ？ちょっと休憩し？」


「んーん、みんなが頑張ってるのに、一人だけ休めないよ」


「じゃあ俺も休む」


「流星はこれ運んで」


とにかく私のそばにいたがる流星を、他の三人が別の場所へ引っ張っていった。




休んでいいと言われても、もちろんこの引越しは急を要するものだから、お言葉に甘えるわけにはいかない。


設けられた自分の部屋で、忘れ物がないか確認する。


「…………こわい、なぁ…」


空っぽの部屋。


いつかの私みたいで、なんだか笑えてきた。


ほら、笑えるくらい、笑い話になるくらい、私は今幸せなんだよ。


ごろん、と仰向けにころがった。


…………幸せすぎて、こわい。


私は今まで大した努力もしてなくて、


でも親に、異常なほど愛されてて、


……流星みたいな、素敵な人が私を好きだと言ってくれて。


もしかしたらこれは夢で、いつか醒めてしまうんじゃないかって。


夢じゃなくても、いつかバチが当たるんじゃないかって。


「A、」


「………流星？」


「なんで……」


流星、下から見上げると本当に大きいなぁ。


ぼんやりとそんなことを考えていたら、流星の手が私の頬に伸びる。


「なんで、泣いてるん」


「……………泣いて、る？」


確認しようと手を動かすと、流星がそれを制し、私の上に四つん這いになった。


「何、考えてた？」


「…………幸せ、すぎて、こわいな…って」


流星は、思わないの？


「ねぇ、夢だったらどうしよう。流星と出逢ったことも、恋をして結ばれたのも、これから流星と生きてくことも……」


もし目が覚めて、あの頃に戻っていたら。


私の目をじっと見つめた流星。


「…………不安に、ならんくていい。夢やないって、わからせたる」


流星と唇が重なる。何度も何度も。


次第に深くなって、息が苦しくなって、また涙が出て、


「夢、じゃないね」


「やろ？」


また、こわくなる。



〆．

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