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〆．
「着いたで〜」
神ちゃんが車を停めたのは、私の学校から随分と離れた住宅街の、ある家の前だった。
「俺先家ん中入っとくから、車に鍵だけかけといてな〜」
そそくさと家の中に入っていく彼を見てから、私もゆっくりと車から降りた。
「A、今日からここが、Aの家やで」
「私の……」
「少しの合間は自由にとはいかんやろけど、家ん中では好きにしてくれてええから」
ごくごく自然に繋がれた手。
幼い頃は両親とももちろん繋いでいたけど、違った暖かさがあった。
「……流星さん、ありがとう」
ぽろっとこぼれた言葉。
流星さんは驚いたように振り返り、ふわりと笑って頭を撫でてくれた。
「どういたしまして。…さてと、今日はちょっと忙しいからな。部屋案内するから、全部終わるまでは荷物整理でもしといて」
「荷物整理……？」
「女の子の好きそうな小物集めたから、適当に模様替えしてな。なるべく、音は立てんで」
急に大人っぽく見えた流星さんに、私は素直に頷いた。
「どう？」
「あらかじめ録音しといたやつやから、大丈夫」
リビングらしき部屋から、そんな会話が聞こえる。
「身代金は818億円で間違いないねんな？」
「んん。流星は兆でもええ言うてたけど」
「それはさすがに……ほな、電話かけてくるから」
「俺も行く〜」
神ちゃんとしげの声が、どこかへ消えた。
「Aの部屋は二階。俺の隣。俺の部屋でも良かってんけど、神ちゃんが男女は離れるべきやって言うから……」
ブツブツ、文句を垂れながら流星さんが案内してくれたのは、二階の奥から二番目の部屋。
「はいここ。ほんまに、物音一つ立てたらあかんで」
それでどうやって模様替えするというのか。
もしや天然……？
持っていた学校用の荷物だけ置いて、流星さんの方に向き直った。
「流星さん」
「んー？」
「もし本当に818億円が支払われたら、私はどうなるの？」
「…………さぁね」
とりあえず静かにな、とだけ言い残して、流星さんは部屋を出ていった。
部屋の真ん中で、ぽつんと一人佇む。
私の自由は、不安定な現状と、不確かな未来で成り立っているらしい。
あの両親のもとへ帰れば、今まで以上に自由がなくなるのだろう。
唇を噛み締めながら、荷物に手を伸ばした。
〆．
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あお(プロフ) - うわぁぁぁぁもうズキュンこえてドキュンですわ (2020年5月20日 23時) (
レス) id: a4e0d9fce2 (このIDを非表示/違反報告)
#藤井あかね。 - 初見です!終わり方がすごくよかったです!りゅせくん×誘拐犯とか見たくて悶えてたんでほんまに嬉しいです~!笑なにしとんっていうレベルでキス魔でしたね…りゅせくんギャップですﾆﾔﾆﾔ (2020年2月11日 22時) (レス) id: 51602379ec (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はゆなさん！完結おめでとうございます♪そしてお疲れ様でした(＞＜) 時折泣いてしまう場面もあり、凄く感情移入しやすかったです^^* オマケも楽しみにしております！ほんとうにお疲れ様でした^^* (2017年4月9日 7時) (レス) id: 597aa18841 (このIDを非表示/違反報告)
mrn - はゆなさん» 完結おめでとうございます！めっちゃわかります！確かに叶えてくれそうですね(笑)藤井さんの声で言われたら絶対にキュン死ですよ(笑) (2017年4月8日 0時) (レス) id: ae9b8e761d (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - 有菜さん» 感想と応援コメント、ありがとうございました！おかげさまで無事に完結しました(*´ω`*)最後まで胸きゅんしていただけたら嬉しいです。 (2017年4月7日 16時) (レス) id: 0cb07950a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はゆな
| 作成日時：2017年2月6日 0時
