流れる星を見逃さないで

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〆．



…………今、何時？


そもそも何月何日なんだろう……。


だらしなく開いた口は、もう言葉を発する力さえない。


ぼんやりと天井を眺める。


いつもと変わらない、私の部屋だ。


細くなった血色の悪い腕は、手錠なんて簡単に抜けそう。


だけど、腕を動かす気力すらなかった。


「…………………」


私、このまま死ぬのかな。


………流星さん。


もう一度、会いたい。


もう一度、名前を呼んで……。




「…………！…！A！！」




「………………、」


「A！！しっかりしろって！！なあ！！」


夢？幻？


どうして、目の前に流星さんがいるの？


「………………っ、」


枯れたはずの涙が、ポロポロと零れ頬を伝う。


「A…………良かった………」


私を見つめる、その綺麗な瞳。


流星さんだ。


「ごめん、遅くなって……」


よお頑張ったな、と私の頬を撫でる流星さんの手は、とても温かい。


「病院行こう。俺も一緒に行くから。な？」


名前を呼びたいのに、うまく声が出なくてもどかしい。


手錠と足枷が外され、久しぶりに自由になった手足。


流星さんに抱き上げられると同時に、意識がぷつりと途絶えた。




……流星さん、流星さん。


好きだよ。


目が覚めたら、伝えるから。


流星さんのストレートな愛情表現も、


不器用な優しさも、全部好きだって。


だから………。




「………………A？」


「…………、」


目が覚めると、そこは病室らしかった。


流星さんが私の顔を覗き込んで、ほっとしたように息をつき、笑った。


「おはよ。長い眠りやったな」


「……………………私、」


「一週間も寝ててんで？………もう大丈夫？まだしんどいよな？」


「……………流星、さん」


本当に、流星さんだ。


手を伸ばすと、その手をしっかり握られる。


「流星さん………あのね……」


「………………」


気持ちを伝えようとしたら、流星さんの上半身がパタリとベッドに倒れ込んだ。


ぐぅぐぅと寝息が聞こえてくる。


その寝顔があまりにも綺麗で、息を呑んだ。




「あ、Aちゃん！起きたんや」


「神ちゃん……」


「流星な、一週間ろくに寝てへんかってん。Aちゃんが起きるの待っててさ。ほんまに、Aちゃんのこと好きやねんな」


神ちゃんは小さな花束を持っていた。


「その態勢で寝れるとか、流星すごいわ」


「ほんとに」


いつぶりだろう。


こんな風に笑ったのは。



〆．

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