流れる星を見逃さないで

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〆．



「………………っ、」


最悪や。


なんで、


なんでこんなことに……。


「もしもし、神ちゃん！？」


『え？いきなりどうしたん、流星』


「Aがおらんくなった！！」


『は？…流星、お前がついとったんやないんか！？』


「それが……っ」


俺のせい。


昔の同級生と偶然会って、思い出話に花を咲かせてしまったから。


飲み物買ってくると手を離したAを、捕まえておかなかったから。


同級生と別れた後ようやく気付いて、走り回ってるけど見つからん。


まさか………。




どれくらい探し回ったか。


辺りは暗くなって、俺の耳に、最悪な知らせが届いた。


『流星………。ネットのニュース見てみ。……誘拐された女子高生が無事戻ってきたって』


……俺は、酷く後悔した。


Aを自由にしてやると誓ったのは俺。


そしてAから自由を奪ったのも俺。


……なにが、流れる星に願い事したら叶うやねん。


A……ごめん………。


近くにあったベンチに腰をおろし、空を見上げた。


夜空に輝く一番星も、今日は憎たらしいものに見えた。




それから、何時間経ったのだろう。


「流星」


聞き慣れた声に、顔を上げた。


「望………」


「何してんねん、帰ろうや」


首を横に振る。


今の俺は喪失感で、何もする気が起きんかったから。


「あの家にはAとの思い出がつまってる。……やのに、帰ってもAはおらん」


ほんまに俺はあほや。


ずっとずっと手に入れたくて


ようやく、ようやく出逢えたのに。


「………ええから、帰るで。とにかく今日は休め。Aのことは明日考えるんや」


少し苛立った様子の望。


わかったて。


重い腰をなんとかあげて、家路についた。




「……………………」


リビングに流れるのは、重くて張り詰めた空気。


「………もう一回、Aちゃんをさらうつもりはあるん？」


俺は神ちゃんの質問に答えることができんかった。


もし誘拐できたとしても、また同じことの繰り返しになってまうんちゃうか、って。


「流星」


「無理やって」


「……………」


「もう……無理やねんって………！」


苛立って前髪をくしゃりと握る。


「あああああっ！！！」


自分への怒り。


近くにあった椅子を蹴ると、三人が急いで止めに入った。


「やめろって！」


「そんなんしてもどうにもならんやろ！！」


わかってる。けど。


俺は止められてもなお、暴れ続けた。



〆．

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