流れる星を見逃さないで

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〆．



あれから半月がたった。現在、私の外出は禁止されている。


それは、私が自由になるためのものらしかった。


「とりあえず、Aちゃんは俺らが殺したことになってる」


「そうなの？」


「誘拐した日に俺言うたやん？警察に言うたらAの命は保証せんって。マスコミも、女子高生が誘拐されたってことは既に多くのメディアで報じてる。というわけで、Aちゃんは殺しましたーってことにすれば一件落着」


「そんな簡単ちゃうけどな。当然、Aちゃんの死亡は確認されてないわけやし？やから申し訳ないけど、騒ぎが静まるまでは大人しくしといてな？」


「同じ話をしてるのに神ちゃんの方が天使に見える」


「なんで！？」


しげの不満げな顔を見ながら、コップに口をつけた。


「望と流星おらんやん」


「今さら？あの二人はバイトやで」


バイト……てことは、大学生くらいなのかな。


「Aちゃん、二人のバイト先行ってみん？」


しげが楽しそうに言う。


「こら。今外出禁止や言うたとこやん」


「せやけどー」


神ちゃんとしげって本当に仲いいなー。


私も、みんなの輪の中に入れてるのかな。


「私、部屋戻るね」


「はーい」


コップ片手に、階段をのぼる。


あれから、流星さんに対する気持ちに変化はない。


ドキドキも、男の子に慣れてないからという理由かもしれないし、安易に恋心と結びつけることができない。


流星さんからのスキンシップは相変わらずで、朝もなぜか同じ布団にいるし……。


ボーッとしていた私は、あと一段、というところで足を踏み外した。




「！？」


驚いてコップを落としてしまう。


一番下で派手に音を立てて割れたそれに向かって、私は転がり落ちた。


「きゃあああっ！！」


今まで感じたことのない痛み。


「っ………！！」


コップの破片は鋭く私の皮膚を貫いた。


「Aちゃん！？……Aちゃん！！あかん、しげ！！車出して！！」


「はっ？え？……！？わかった！」


ああ………私、馬鹿だなぁ………。


二週間前、流星さんと繋いだ右手。


大きな破片が貫通して、見たこともないくらい血が流れてる。


「ごめん……なさい………」


「何謝ってるん！そんなんええから！ごめんな、破片抜いたら余計酷なるやろから……よいしょ、」


神ちゃんが私のことを抱き上げ、車まで運ぶ。


私、迷惑かけてる。


申し訳ない気持ちばかりが、私の心を支配していた。



〆．

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