.８３話 偶然か必然か ページ39
世の中は理不尽に溢れている。
齢10歳にして私はそれを知った。
私はただ生まれてきただけだ。鬼という個性をもって。
親も個性も私が選んだわけじゃない。両親から道具扱いをされ、周りから化け物と罵られるのを私は望んでない。
大事な人も失い、裏切られて、囚われて。
鬼の個性も、蒼い炎も私にとって重い足枷だ。いつまでたっても私は縛られ続けている。
燈矢くんのことを何度も忘れようとした。罪悪感から逃れたかった。でも、それ以上に彼は大きな存在で、私の中から消えてくれることはなく、今もこうやって夢を見る。
記憶というものは最初に声から失われるらしく、長い間、蒼い炎と鬼化を使わず、夢を見ていなかったから彼の声をすっかり忘れていた。顔もぼんやりしていて。
でも、今。こうやって鮮明に過去を見せられて。まるで過去から目を背けるなと、忘れて楽になろうなどとするなって戒告されているよう。
これが嫌だったから頑なに使おうとしなかった。使う必要がなかったというのもある。
燈矢くんが死んでからだいたい1ヶ月後くらいに個性が発現した。そして両親が壊れていった。ヒーローを引退した自分たちがオールマイトの側にいられないから焦ったんだと思う。
あの頃の私は燈矢くんとの約束を守ろうとして本気でヒーローになろうと思っていた。だから、どれだけ辛くても訓練をし続けてこれた。自分で望んでやっていた。ただひたすら、強くなりたいと願いながら。
母さんの友人に個性を見てもらった時、鬼だと言われた。けれど、訓練しても出来るようになったことは白い炎を出すこととパワーをあげることだけ。鬼らしいことなんて１つも出来なかった。
そして時は流れ、私が小学4年生の頃。虐めがエスカレートし始めた頃。あの事件が起きた。
何でもオールマイトが大怪我を負ったらしく両親はずっと病院に通いつめていた。オールマイトの身にあったこと淡々と私に話す両親は憔悴しきっていた。
１ヶ月程経ったある日の深夜、叩き起こされ訓練場まで引き摺られ何を思ったのか父さんが私の顔を殴った。うずくまる私に容赦なくふりかかる暴力に私は困惑することしか出来なくて。母さんは冷たい目で私を見ていただけだった。
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レイ(プロフ) - コメントありがとうございます！夏休みが終わったらまた更新を停止すると思いますが、それまでは続編に移行するので是非お付き合いくださいませ(*^^*) (2022年8月6日 13時) (
レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
イレイス - 戻ってきてくれて嬉しいです！たまたま見てたら見覚えがあったので見てみたらまさかの私のお気に入りの小説だったのでとてもびっくりしました！勉強お疲れ様です！ (2022年8月5日 20時) (レス) @page50 id: a3782054c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 爆豪落ちを期待しています(´｡✪ω✪｡ ` ) (2022年7月27日 17時) (レス) id: da308acd1e (このIDを非表示/違反報告)
ゼロラク - すごく面白いです!続きがすごく楽しみです (2022年6月26日 11時) (レス) @page41 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 今日見始めた者ですがはまってしまいました..だから消すのだけはやめてほしいです！勉強頑張ってください！応援してます！ (2022年6月26日 0時) (レス) @page41 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2022年3月7日 20時
