.８２話 埋まらない傷 ページ38
放課後の学校
下校時間はとっくに過ぎているようで、私以外誰もいない。教室には傾き始めた夕日が眩しいくらいに差し込んでいた。
黒板の上には学級目標のポスターが貼ってあり、これは４年生の時の記憶だと分かった。
「＿A！遅くなってごめんね。委員会思ったよりも長くてさ…
…話があるって言ってたけど…何か、悩み事でもあるの？」
久しぶりに聞く声。とっくに忘れていた。
ドアの方を見れば、困ったような笑顔で私を見るあの子の姿があった。心臓がどくリと嫌な音を立てる。
『あのさ…ずっと秘密にしてたんだけど＿』
一刻も早くここから逃げ出したい。でも足は動かなくて。それどころか勝手に口が動く。私は今、過去を見せられているだけ。
元々人付き合いは苦手だった。周りの子が苦労してやっと出来ることは私にとってはどれも容易で、私は皆と違うのだと距離を感じていた。
放課後は友達と遊んだりするのは禁止だし、周りと馴れ合うなって父さんから言われていた。
それでもこの子だけは、そんな私に声をかけてくれてたった1人の"友達"でいてくれた。
だから期待してしまった。どんな私でもこの子なら、受け入れてくれるって。
私は愚かで無知だった。
「その鬼…の個性を秘密に…？
別に言いふらしたりしないけどさ。何で隠したいの？格好いいじゃん」
『…皆が千晴みたいに思う訳じゃない。個性で恐がられたくない…。異形だから』
「…そっか、分かった！誰にも言わない！
でも私は、どんな個性でもAが大好きだからね！」
"千晴が友達で良かった"
この時は本気でそう思った。
「ねぇ知ってる？あの子、鬼なんだって！怒らせたら喰われるって1組の子が言ってたー！」
「やだぁー怖ーい」
向こうは冗談のつもりで言ってる。相手にするだけ無駄だ。
「化け物！学校来てんじゃねぇよ！」
私は化け物じゃない。
「子供なのに白髪だし目も血の色で気持ち悪い。」
個性も容姿も、好きでこうなったわけじゃない。
「親友の好きな人奪うとか最低過ぎない？千晴可哀想〜」
「先に私を裏切ったのは…Aの方でしょ…」
わけが分からない
けど…そっか、私はまた
失った
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レイ(プロフ) - コメントありがとうございます！夏休みが終わったらまた更新を停止すると思いますが、それまでは続編に移行するので是非お付き合いくださいませ(*^^*) (2022年8月6日 13時) (
レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
イレイス - 戻ってきてくれて嬉しいです！たまたま見てたら見覚えがあったので見てみたらまさかの私のお気に入りの小説だったのでとてもびっくりしました！勉強お疲れ様です！ (2022年8月5日 20時) (レス) @page50 id: a3782054c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 爆豪落ちを期待しています(´｡✪ω✪｡ ` ) (2022年7月27日 17時) (レス) id: da308acd1e (このIDを非表示/違反報告)
ゼロラク - すごく面白いです!続きがすごく楽しみです (2022年6月26日 11時) (レス) @page41 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 今日見始めた者ですがはまってしまいました..だから消すのだけはやめてほしいです！勉強頑張ってください！応援してます！ (2022年6月26日 0時) (レス) @page41 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2022年3月7日 20時
