. 261話 口田甲司 ページ35
放課後、寮を出て軽く散歩をしていた時、道の脇から突然飛び出してきた茶色い生き物。
人見知りをしないようで手を差し出せば擦り寄ってきた。時間を忘れて触っているといつの間にかそばに居た2人。B組の物間くんと拳藤さんだ。
「へぇ…意外と懐っこいもんだねぇ」
「雄英バリアを突破するなんて、やるじゃないか君」
君が飼ってる猫なの?と聞かれたのでおそらく野良猫だ、と何とかジェスチャーで伝えれば察してくれたらしい。あまり一緒に活動する機会は無いからこうして過ごすのは新鮮だった。
ふと、拳藤さんが何かを見つけたように立ち上がった。
「あ、おーい神崎!」
「…何して…、猫…?」
自主練終わりで寮へ帰る途中だったそうだ。拳藤さんが神崎さんに触らないかと誘ったけど彼女はやんわりと断る。にしては気になってるようにも…。
それを察してか、拳藤さんが彼女の手を引いて1歩近づいた瞬間。
ｷﾞﾆｬｱｱｱｱ!!と、断末魔のような鳴き声で走り去って行った猫。何が起こったのか分からず呆然とした4人だけがその場に残された。
「…
…あー…、ごめん。
私 小動物に嫌われやすくて」
神崎さんが気まずそうな表情で謝る。嫌われるとは全く違う話な気がするけど…
「…別に謝らなくていいし。というか…猫に群がられてそうなイメージしかないから驚いたよ」
そう言って意外そうに目を丸くする物間くん。猫に群がられそうなイメージ…は確かに分かる。
「神崎的には好きなの?」
「…まぁ、嫌いでは」
それから少し話してB組の2人と分かれる。寮の門限もあるし、そろそろ戻らなくちゃいけない。
歩き出そうとした僕とは反対に、神崎さんは猫が走り去って行った方向を見てそのまま佇んでいた。
「──やっぱり、動物は分かるよね」
誰にも聞かせるつもりのない独り言だったんだろう。そのくらい小さく弱々しい声だった。
けれど僕には聴こえた。そして皮肉にも、僕にはその言葉の意味が何となく分かってしまった。
『…僕の部屋、兎を飼ってるんだ。人見知りしないしマイペースで…。君が優しい人だって教えてあげればきっと、すぐに気を許してくれると思う。
…だから今度、触ってみない?』
神崎さんは聞こえていたのか、と言いたげな表情をした。そして僕がこうして喋ったことにも驚いていたようだった。
君は
ありがとう、と一言だけ残した。
“動物にはわかる”
目を伏せた君に、そんな事ないよって言ってあげられたらよかった。
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マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
