. 259話 砂糖力道 ページ33
日曜日。夏休み中も毎日立て続けにある訓練の中、それは唯一の休みの日だった。
｢神崎〜!!!
良いもんあるから出ておいで〜!!｣
朝一番、とは言っても午前8時を過ぎてはいるが。芦戸と葉隠の元気のいい声が女子寮3階に響いた。
ガチャりと神崎が扉を開けて出てくる。あからさまに眠たそうだ。
｢…朝からなんでそんな元気なのあんたら｣
芦｢いや〜これがアイデンティティなのでね｣
葉｢Aちゃんも元気になるものがあるんだよ!早く早く!｣
彼女がやや引っ張られながら2人についていく。下に降りるにつれて、甘い匂いが漂っていた。
**
砂『お、来たな！』
｢いい匂いがする……｣
開口一番、神崎が普段なら言わなさそうなことを言うものだからつい笑いが零れた。
そんな彼女に皿に盛り付けたシフォンケーキとフォークを差し出す。急に呼ばれたもんだから彼女は少し困惑していたみたいだった。
麗｢この前部屋王やったって話したやん?そん時砂糖くんが作ったお菓子皆で貰ったんやけどそれがめっちゃ美味しくて!｣
砂『そうそう。神崎まだ居なかったからさ、甘いもん好きのお前にこそ食べさせてやりたかったんだよ』
部屋王の時、皆にケーキを振舞って美味そうに食べてくれたのが心底嬉しかった。それから、｢Aちゃんも来れたら良かったんだけどな｣と、葉隠の独り言を聞いた。
その時から、アレンジでも加えてもう一度作ろうと決めていたんだ。
｢……いいの?もらって｣
砂『おー食え食え』
遠慮がちに1口ずつ食べる神崎の表情が、みるみる明るくなったのが分かった。相変わらず無表情には変わりないけどさ。
｢……美味しい、すごく…｣
『───……なら良かった!また作るからな!』
葉｢うまっ……｣
八｢皆さん、お紅茶もご一緒にどうですか?｣
麗｢頂きましたい!｣
芦｢この前の…えっと、ダーリン?美味しかったヤツ!｣
八｢ダージリンですわね!ご用意致しますわ｣
女子たちがはしゃぎながら台所の方に歩いていった。楽しそうで何よりだが。
砂『神崎って紅茶とか飲むのか?』
｢……いっぱい砂糖入れれば、｣
砂『だと思った。まぁ言わなくても神崎が甘党なんて周知のアレだからな。えらく甘いの煎れてくれるだろ』
｢……周知、｣
なんとも言えない顔で反復した神崎を笑い飛ばすと、彼女もまた穏やかな表情していた。
こんなんで、たった少しでもいい。
心が軽くなってたらいいと願いながら。
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マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
