. 257話 緑谷出久 ページ31
夜も深まってきた。紺色の空に散りばめられた満点の星屑。当たりが暗いから澄んで見えるのだろう。それが少し、僕から現実味をかかせた。
『神崎さんって、僕のことどう思ってるの?』
開口1番言葉選びを盛大に間違えたと頭が真っ白になった。確かに聞きたい趣旨は間違ってない。けれどこれでは好きな子の気持ちをはかる男子高校生みたいじゃないか。
｢っえと、違くて！その…どうして僕なんかを気にかけてくれるんだろうって思って…！｣
何とか弁明しようとするけどなかなかいい言葉が出てこない。
ずっと不思議に思っていた。自惚れてるわけじゃないけど、何処か彼女は僕に甘いところがあると感じる。
身を張って助けに来てくれたことも、身を奮い立たせてくれる言葉をくれるのも、彼女の優しさだと言えばそれまでだ。
けど、それ以上のものがそこにあったと思えてならない。こうして親身になって訓練に付き合ってくれるのも、何か理由があるんじゃないかと。
無音の時間が流れる。しばらくして神崎さんは特に驚いた様子もなく、静かに口を開いた。
｢…私は緑谷を、オールマイトっていうヒーローに1番近い存在だと思ってる｣
『…え?』
｢4月の体力測定、痛みに耐えて笑顔を見せる貴方に、オールマイトと同種の強さを感じた。
…あんたは彼に1番信頼されてるし、1番期待されてる。だからこそ、その強さの理由を知りたい｣
間の抜けた声しか出なかった。固まる僕とは対照的に神崎さんは、何事も無いように荷物を片付け始める。
『っ待って、君は…どこまで知って』
｢それに…なんだか私は、あんたの力にならなきゃならないって…よく感じるんだ。
…もう部屋に戻ろう。
また明日｣
結局なにも返せないまま、静かな暗闇に1人取り残されていた。
いつもと変わらない調子の声で、相も変わらず無表情で。それでも切なさが滲む瞳が、僕に言葉を発することを許さなかった。
いつまでそうしていただろうか。部屋に戻ろうと1歩足を動かした頃には、既に身体は冷えきっていた。
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マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
