. 256話 内へ ページ30
早くも迫りつつある仮免試験に備え、皆が部屋に戻って寝静まった頃、相も変わらず僕と神崎さんは練習に勤しんでいた。
『だいぶ様になってきたなって、珍しく先生に褒められたよ』
｢そう、良かった｣
『神崎さんのお陰だ。本当にありがとう』
それなのに、彼女は｢大したことしてない｣だなんて口にするから、つい苦笑を浮かべる。
『神崎さんは、必殺技完成したらしいね』
｢一応…でも、必殺だなんて呼べるものじゃ｣
彼女の新しい技は自身を中心に全方向から炎を放出するというものだった。炎系個性がどのようなものか分からないけれど、それを見た轟くんが感心してたからかなり高度な技なんだろう。
『そんなことないよ!相手と距離をとるにも威嚇するにも色んな場面で使えると思う。何より仮免試験で予想されてる複数との対人戦闘にあつらえ向きだし、それに───』
かなり一方的に喋ってからふと我に返る。また自分の世界に入ってしまったことへの恥ずかしさと情けなさで謝ろうとしたけど、真剣な眼差しで聞いてくれていた神崎さんを見て、口を噤んだ。
秋の夜は意外に冷え込む。けれど動かして火照った身体を風が優しく冷ましてくれるのは心地よく感じた。
この頃神崎さんについて考えていたことがある。
オールマイトとの関係、かつてオールマイトのサイドキックだったレインフォース、彼があの夜冷たい目を向けていたこと、死柄木との関わり。
普通のご飯というものを受け付けないこと、尋常でないほどの戦闘力、隠していた個性、僕らとの間に線を引く理由、関わりを拒絶してたくせに命懸けで守ろうとする姿。
そして、オールマイトが救えなかった人。
何かが繋がりそうで、それでも何も掴めないことに心が焼き爛れるようなもどかしさを感じる。
この1週間、オールマイトと神崎さんが話すのを一度も見なかった。軽く言葉を交わしていた事が嘘みたいに、神崎さんはオールマイトを避けている。
轟くんや、他のみんなにも自分から近付こうとしていない。
そんな彼女を皆心配してる。誰1人、分かりやすく顔に出す人なんて居ないけれど。だから、こうして一緒に過ごせるのはちょっとした救いでもあった。
どうして僕だけ、なんて自惚れがあった訳じゃないけど、1度気になり出したことが今なら聞ける気がした。
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マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
