. 252話 生き方 ページ26
“てめぇに、関係ねぇだろうが”
USJ事件の日、余計な詮索をした私に彼が発した言葉だ。
そう。彼の家事情に私は微塵も関わりなんて無いし、逆に私の問題だって彼は関係ない。
私たちは同じクラスの人間であって所詮は他人だ。中には緑谷みたいなお節介焼きも居るってだけで本来ならお互い口を出すべきじゃない。
あんたも、同じように思っているものだと考えていた。
『…あんたは、変わったよね』
轟に掴まれた腕を軽く動かして離すように促す。彼は私の言葉に静かに耳を傾けていた。
『今まで何度か…言葉にしなかったけど、話す気は無いって態度を取ってきた。知られたくないから。
なのに懲りずに何度も踏み込んできて、本当…緑谷に似てきたと思うよ』
｢…悪い、困らせたいわけじゃ｣
『分かってる。…あんたが優しい人なのは知ってるから。緑谷が言ってた。…ヒーローの本質なんでしょ、それが』
｢…俺を変えたのは緑谷と神崎だ。…同じだ。俺に変わるきっかけを、言葉をくれたのはお前だから｣
風が吹き始め、髪が掬われる。頬にかかったものを耳に掛けながら、また突き放す言葉を。
『…“私だけは味方だよ”』
｢……?｣
『“必ず助けてやる”
“一緒にヒーローになろう”
…何度、期待したと思う?何回裏切られてきたと思う?その度に信じた自分が馬鹿だったと自己嫌悪に浸るんだ。
…偽の私が話したことで巻き込んだこと、悪いと思ってる。でもこの先私はあんたを頼ることは無いし期待もしない。…それは、轟だからって訳じゃないけど。』
｢…
…諦めてるってことか?｣
『そうだよ。結局は自分で方をつけなきゃいけないんだから。頼っていいのは自分の力だけ。
もう二度と、助けなんて求めない』
｢っ俺には…そうは見えねぇ。…お前が誰かを必要としてるように見えたから放っとけねぇんだ｣
『私の何がわかるっていうの?』
やけに乾いた声が口から出る。自分でももう何の話をしてるのか分からない。
ただこの瞬間、このお人好しを突き放しておかなければならないんだって、それだけが頭にあった。
優しい人だからこそ、巻き込むわけにいかない。裏切られたくない、大切な人たちだからこそ信じちゃいけない。
呼び止める声に振り返らず、奥歯を噛み締めながら雄英を後にした。
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マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
