. 250話 縋ってしまうから ページ24
至極普通の疑問だった。
私にとっては違うってだけで。
何も答えない私に皆が首を傾ける。
私が入寮することを当たり前だと思ってるから。何を言い淀むことがあるのか全くもって分からない、そんな表情だった。
｢神崎?どうかした?｣
｢もしかして、両親に反対されてるとか…｣
断るつもりでここに来たんだ。一言で済ませばいい、私は雄英から出ていこうと思っていると。
なのに、
皆が私をそんな目で見るから、いつも通りに接してくれるから。個性について問わないその優しさに触れたから。
どうしようも無く嬉しかったんだ。
この居場所が、この関係が。
簡単には手放せないものになっていた。
だからと言って私はヒーローになれる訳でも無い。眩しいほどの彼らの隣にいたって、自分もそうなる事は叶わない。
“待ってろ、お前を攫いに行く”
その言葉に期待した自分がいる。私は結局自分が救われればそれでいいんだ。性根が腐りきった自分が、この人たちの隣を歩むことは許されない。
だからどうか、私がいる未来を
簡単に描かないで
なのに、
『───準備が出来次第…すぐ、』
口から出たのはせいぜいそんなもの。
今思えば、この時の私はかなり参っていた。
今までの人生が仕組まれたものだと告げられ、父さんと母さんに捨てられたも同然の状況で、守るべきオールマイトを終わらせ傷付けた。
これ以上失うものは無いくらい、必死に手のひらで覆い隠していたものが零れていった。
だからこそ…この場所に縋り付く他なくて。彼らを失いたくなくて。
どんどん、堕ちていく。
──トン、と左脚に軽い衝撃。驚いて目線をあげれば爆豪に呆れたような目を向けられていた。
爆｢目ェ据わってんぞ。
しんどいなら早く帰れや｣
切｢ば、爆豪！心配だからって女子を蹴るのはどうかと思うぞ…?｣
爆｢うっせーよ。俺ァ部屋戻る｣
『……爆豪、』
爆豪はちらりと目線を流してから、ふんを鼻を鳴らしてロビーから出ていった。
日もそろそろ暮れる。随分と長い時間を過ごした分名残惜しさはあれど、礼を告げてから寮を出た。
轟｢───神崎、門まで送ってく｣
『……何も無いよ』
轟｢別に、そうしたいと思っただけだ｣
轟が後に続いて寮を出てきていた。
振り返って目を合わせれば、夕日に照らされてオッドアイが煌めく。深海を住まわせる穏やかな蒼が酷く綺麗で、そして───
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マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
