. 242話 眠り姫は ページ16
誰かがゆっくりと頬を撫でる。少しだけザラザラしていて、偶に固く冷たいものが肌に当たった。
その人の顔が見たいのに、目が開かない。でも、私はこの人を、この温かさを知ってる。
私はこの優しい手付きを何処かで───
『───』
掠れながらもその名を告れば、ふっと息で笑うような声が聴こえた。
｢……1人にして、悪かったな｣
その時、たった一瞬、額に暖かい何かが当てられた気がした。
──ふと気が付けば、一定の間隔でピッ、ピッ、と無機質な音が部屋に響いていた。額は熱を帯びている。その感覚に咄嗟に手で覆った。
見渡せばすぐに病院なのだと理解する。机には果物が一杯に入った籠とスマホ。
ロックを解けば、信じられない程の着信が入っていた。クラスの皆からだ。…轟からの不在着信が群を抜いてるが。
珍しく爆豪からもLINEが入っていた。たった一言、｢おい｣と。彼らしいと言えばらしいが、…心配をかけてしまったんだろう。
彼らには後から連絡を……と思ったが、一体何て言えばいいんだろうか。合わせる顔なんてどこにも無いのに。
スマホを机に置いて、沢山の管に繋がれている身体を見る。
病院は嫌いだ。約束を破ってまで父さんを、ここに来ることを選んだせいで、私は彼を失うことになったのだから。
点滴や胸に繋がれている機材も無理やり全部取り外してベットから立ち上がる。すると、機械が急にビー、と大きな音を鳴らし始めた。
私は半ば逃げるように病室から去る。
何日眠ってたか分からない。けれど長い時間が経ったんだろう。脚に力が入らないし、喉も酷く乾いて声が出せそうにない。
水を飲んでから非常口の階段から降りて行けば、外に出ることが出来た。
あの人を追い掛けないと。多分そんなに時間は経っていない。あれは夢なんかじゃなかった。
頬に、額に熱が残っている。優しく触れられただけの感触が、まだ。
誰か知ってる。1人しかいない。
会いに来てくれたんだ。
私が間違えるはずがない。
彼は、
───生きてる?
｢──神崎ｯｯ!!!｣
『……せんせい…?』
切羽詰まったように声を上げる相澤先生を見て目を見開く。後ろには同じような表情をしたオールマイトの姿。
｢君ね!!目が覚めたからと言って病院を抜け出す奴があるかい!?
病院から君が居なくなったって連絡が来てどれだけ肝を冷やしたとｯ……
……A少女、…泣いてるのかい…?｣
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マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
