. 239話 神野の悪夢25 ページ13
燈矢くんが大切だった。
幼い私の無茶苦茶な言葉を丁寧に1つずつ拾って、家まで連れて行ってくれた彼が。
涙が止まらない私に、暖かくて優しい炎を見せてくれた彼が。
繋いだ手を離すことなく、引っ張って歩いてくれた彼が。
代わりなんて居ない特別な人だった。
ずっと一緒にいたくて、彼が死んでしまってからも私の中で確かに生きる彼を守りたかっただけ。
けれどいつからか…その感情が他の誰かに向くようになって、彼の存在が薄れて行った。
自分を恨んだ。罪から逃れようとする自分が、楽になろうとする甘ったれた思考が憎かったんだ。
ベクトルは向きを変え、燈矢くんへの感情が薄れていく。いつか消えてしまう感情を思えば不安が止めどなく溢れてしまう。
…そう、不安だった。貴方が居なくなってからずっと寒かった。満たされない心を、空っぽの心を何とかして埋めたくて抗ってた。
でも今、蒼炎に包まれてる。
彼の炎だ。私の白炎が、彼への想いが募って蒼に染まった。大切な人の存在を自分の中に刻み込んで、私は今満たされていた。
もう寒くなんかない。
ずっとこうしていたい。全部燃やし尽くして、私と彼だけが残るそんな世界になったらいいのに。
…でもそんなこと叶わないから。
願わくば、このまま彼の炎に呑まれて──
──A少女
ふと、私を呼ぶ声がした。
少女、なんて。そんな呼び方をする人は1人しかいないけど……誰だっけ。まぁ、思い出せないならどうでもいい。
──帰っておいで、君を待ってる人が沢山いるんだ。もちろん、私も。
私を待ってる人たち、なんて。
私には燈矢くんだけで。そんな人、誰も
“Aさん”
“神崎さん”
“Aちゃん!!”
“神崎”
誰かが私を呼ぶ。
でもそれが誰だったのか、分からない。
──今まで気付けなくてすまなかった。1人で苦しかっただろう。
──だがもう、大丈夫だ。
……あぁ違う、どうでもいい人なわけない。
2年前も同じ言葉をくれた。
ずっと求めていた、救いの言葉を。
そうだ。私は、この人を
｢───私が来た。
君を、絶対に助けてみせる｣
『……おーる、まいと』
｢……良かった、君が、無事で｣
目の前にはボロボロになったオールマイトがいた。私の肩を掴んで、ずっと呼び掛けていてくれたんだ。
この人はまた、私を助けてくれた。
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マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
