. 237話 神野の悪夢23 ページ11
｢どうだい、オールマイト。
これが僕が望んだ景色だ。今までは力を受け入れられずにいたようだが、これが彼女の本来の力なんだよ。
これまで彼女が使っていた個性は君と同じく、過去に鬼化した際の力の残りカスのようなものだ。だから弱かった。
ただ、今の彼女の原動力は僕への憎しみだろう。中にいる鬼城は身を灼きながらも僕を殺すまで暴走を止めない。
そんな彼女は酷く滑稽で、とても美しい。真っ白で純粋な彼女はこれから何色にだって染まれる。
…炎だけはあの少年に奪われたが僕が黒に堕としてみせる。
だがら、僕は彼女がここで燃え尽きることは望んでいない。｣
この男はAの暴走を促した張本人。彼女の心を踏み荒らし、かろうじて保たれていた最後の一線を断った。されど破滅は望んでいないという。
普段は慎重に事を進める男の行動に一貫性が伴わないわけは、Aのことになると好奇心が先立つ事にあるのだろう。
そんな彼にとって、彼女を鎮め得るオールマイトの存在は、実に都合が良かったのだ。
｢止めたければ止めればいいい。君の声なら
届く。皮肉なことだよ、…彼女にとっても、君にとっても｣
オ｢……言われずとも助けてみせるさ。
私は、ヒーローだから｣
とは言え状況は依然変わらぬまま。近付くこともままならないのにどう止めろと言うのか。
しかし、その時
オールマイトには見えてしまった。
嗤いながらも、涙を流し続ける彼女の姿が。あの期末の実技試験の時のように、彼女は泣いていたのだ。
それを見た瞬間には足は彼女に向かっていた。行く先を阻む炎など目もくれず、一身に彼女の元へ走った。
彼女はずっと自分を嗤っていた。
1人でずっと苦しみに泣いていた。
彼女は確かに1人で闘う強さがある。だがまだたった15歳の少女で。決して1人で歩ませてはならなかった。
“もう大丈夫、私が来た”
その言葉を彼女に告げてからもう２年が経っていた。もう一度言ってやる責任が己にある。自分は彼女に求められていなくとも。今度こそは。
真の意味で彼女を救う。
二度と1人で闘わせたりしない。
いつか笑って欲しいから。
仲間や友人に囲まれて笑う少女を見る為なら、なんだって成し遂げてみせる。
堅い決意を胸に、そしてどうか彼女の中に居るであろう彼らの存在がAを救い出すことを願って。
オールマイトは、Aの手を掴んだ。
. 238話 神野の悪夢24→←. 236話 神野の悪夢22
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 752人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マヨケリ(プロフ) - コメント失礼します🙇ほんとに面白くて一気に読んでしまいました！！ (4月22日 20時) (
レス) id: 25632ac130 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン - いつも楽しく読ませていただいています！個人的に夢主がめちゃくちゃ好きです！続き楽しみに待ってます！ (3月29日 19時) (レス) id: 4501a4fd46 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - あめみやさん» 読んでくださってありがとうございます。あめみや様のような応援コメントにいつも励まされています☺️ (11月13日 8時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
あめみや - 久しぶりに見たら神野の悪夢編終わってて目が飛び出しました！これからもご自身のペースで更新頑張ってください！！ (11月11日 19時) (レス) id: dd94fd2279 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 司さん» ありがとうございます^^自分でもこの先どうなるのか分からなくなってきましたが完結までは必ず持っていきます! (9月16日 13時) (レス) id: 4d64a1450f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レイ | 作成日時：2023年7月25日 18時
