通話 ページ39
向こうからの声がないので、俺からひとまず
声をかける。
カ「もしもし、A？」
A「……こんばんは…5回も電話するなんて」
カ「わりぃ、何かしてたか？」
A「いえ、お風呂入ってたから」
カ「ふ……」
お、お風呂……
カ「つまり…いまAは湯浴み姿で俺と通話を……((ﾎﾞｿ」
A「な、なに言ってるの？」
カ「いや、なんでもねぇ…ｽﾞｽﾞｯ」
濡れた髪と林檎のように熱った体のAを想像して俺は
鼻血を垂らしてしまっていたらしい…
A「で？なんで5回もかけてきたの？」
カ「いや、ただAと話したくて…」
A「え？それだけ…？」
カ「あぁ、それだけだ」
A「はぁ…まったく」
Aは小さくため息を吐くと、ベッドに座ったのかｷﾞｼｯと
物音が聞こえた。
A・カ「「………………」」
やべぇ、話したいことっつってもなに話せばいいか……
お互い黙ってるだけだった。こういうのって自分の話ばかり
振るのはよくねえっていうし…
A「ねぇ、神谷。話したいことが見つかるまで、
私から質問していいかしら」
カ「え？お、おぉ」
A「神谷はなんで私のこと可愛いって思うの？」
カ「あ？……んー」
A「身内に聞いてみたのだけれど、私はどっちかっていうと
カッコいいとか綺麗の部類に入るらしいの……どうしても神谷
の言っていた私の可愛いところっていうのが理解し難くて」
お、おぉ…Aってばまだそんなことを考えてたのか。
自分が理解できないことはとことん追求するタイプの女
なんだな…この子は
カ「例えばだ。A…人は自分の笑顔を自分で見ることって
頻繁にあると思うか？」
A「え？んー…な、ないんじゃないかしら。笑顔なんて
感情のままに不意に出る物だと思うから、自分の鏡で笑顔を
見ようと思ってみれる物じゃないし…」
カ「さっきお前の家で言ったと思うが、俺はお前の"笑顔"に
惚れたんだ。普段はクールっぽいのにあの時の笑顔は天使の
ようにキュートだったんだからな、一瞬でｽﾞｷﾞｭﾝｯ！だ…」
A「も、もういい！！/////// わ、わかったから！！」
照れてるのか、少し声のトーンが上がったA。
なんて初々しいんだ、こういうところも可愛いんだけどな？
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作者名：赤星 | 作成日時：2022年6月20日 4時
