自己中心的。 ページ10
『んふふ』
深い意味は無かった。
けれどもこの、平和で暖かい空間に笑みが溢れた。
軍とは思えないくらい。
優しい。
ps「え、え、笑う要素あった？」
きょとんとするぺ神さんにまた笑いが溢れてしまう。
ツボが浅くなってしまったようだ。
『…どうして、まだ出会って二ヶ月の様な人間を信用できるんですか。スパイかもしれないとか、思わないんですか？』
外から視線を移すとぺ神さんは、雑面から出ている口元が弧を描き言った。
ps「グルッペンが選んだ人間やから。それだけで俺らは信用に足りる。」
「明らかに何か企んだ顔してないし〜」と言いながらぺ神さんは作業を再開する。
私は、此処の人達に加わってもいいのだろうか。
あの人達の輪に入ることは許されるのだろうか。
こんな承認欲求の塊の様な汚い人間が、純粋に混ざるのはいけない事ではないのだろうか。
ぐるぐると巡る思考に頭が痛くなる。
ps「だから…深い事気にせず、Aちゃんらしく振る舞えばいいと思う。18歳なんて青春真っ只中、味合わん方が勿体無い」
気がつくとそばにいたぺ神さんに優しく頭を撫でられ、体が勝手に目を細める。
『でも、私らしくなんて言われても分かりませんよ。青春なんて必要ないですから』
カウンセリングでも受けているかのように、ぺ神さんの優しい言葉は心に染みる。
私は彼等に混ざってもいいんだ。
『…友達だって欲しい。高校だって行って、可愛い制服着たかった。』
けど、死にかけた所を助けて育ててくれた恩人に、恩を仇で売るようは真似はしたくなかった。8年、辛い時も楽しい時も一緒にいてくれたぴくとさんにぺいんと達。
汚れ仕事でも、こうして生きていく術を教えてくれたあの人には感謝しか無いのだ。
『ははっ、私ってばほんと自己中。捨てられたってしょうがないですね』
止まらない涙でぼやける視界の中で、ぺ神さんは頭を撫でて、泣き止むまで待ってくれていた。
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作者名：はぁな。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月17日 14時
