白聖母と呼ばれる彼女は。II (ページ19)

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恩赦もクソも無い。ページ19

エプンク国には両国とも迷惑を被られていたらしい。

国民の拉致から違法薬物の闇取引に人身売買。更には強制売春まで。
探せば幾らでも出てくる悪行の数々は、叩けば埃が出る様だった。
まぁこの場合、叩かずとも埃は出てるし、叩いても叩いても埃が無くならないレベルではある。

tm「ウチは今回後方援助に回らせるよ。ぴくとさんの救出はAちゃんで良いよね」

pi「今いる中で一番成功率が高いと思ってる」

突然の義兄弟と尊敬する人からの褒め言葉に驚いて硬直する。
ぺいんとそんな風に思ってくれてたんだ…
そう自覚すると、なんだか照れ臭くなってくる。今はそんな状況じゃ無い。早く助けたい。
私はあの人を失ってまともで居られる気はしてないから。

私は必死に机と紙に齧り付いて作戦と兵の動きを頭に入れる。
そこからぴくとさんがいるであろう部屋を予想して、ルートを決める。

向こうの城の構造はしにーに調べて貰った。
ぴくとさんなら、どうするだろうか。彼なら、どう恩師を救いに行くだろうか。

ai「…あ、Aさん。ここ、確か警備が手薄です」

突然アイクさんが指を刺したのは国境のある箇所だった。
森が隣接しているせいで警備兵も面倒くさがっておざなりになっているらしい。

一瞬、何故彼がそんな国民しか知らないであろう情報を握っているのか疑問に思った。それはすぐに解決された。

ai「自分、エプンク国の生まれで」

tr「え、それって…これから故郷と戦争ですよね？」

ともさん達も「やっぱりこの戦争は出なくても良いよ？」と心配する声をあげる。

ai「大丈夫ですよ。恩赦もクソも無いので」