春一番 ページ10
ジョングク(Jungkook、BTS)
・
窓からふたつ離れた一番後ろの席。
ここが私の定位置で。
君がその左隣。
ずっと遠くから見てた君と初めて話した4月。
「こっから1年間席替えなしとか時代遅れにも程があんだろ、ね？」って君が急に話しかけてくるからびっくりして、でも嬉しかった。
私はねこの1年間楽しみで仕方ないよ。
風が吹くと、プール終わり特有の塩素の匂いで教室がいっぱいになる。
あなたの髪がサラサラ揺れて、思わず撫でるとあなたがフッて笑ってさ、
「気持ちいい、」
…猫かって思いながら、照れて顔を背ける私がいて。
移動教室の途中、中庭を通る秋風にブルっと体が震えて、ちょっと長めのブランケットをスカートの上に巻き付けてると、
「寒い？」
後ろから覗き込んできて、
「すこし」
あなたの目を見て返せば、
「温めてあげよっか？」
「…どうやって？」
「こうやって」
そう言って私の身体を包んで、ニコニコ笑うのよ。
ふざけるなよ。
お前がそんな愛おしそうにみるから期待するに決まってるだろ。
「このクソたらし」
「ふふ、今はそう思ってて」
乾いた空気とかすかに香る石鹸の匂いが少し恨めしかった。
雪がパラパラと舞う頃。
世の中は赤と緑、イルミネーションで溢れてるけどさ、
追い込みの受験生には辛いけど見ないフリ。
くそ、無くなった文房具買いにきただけなのにちょっとイラつく。
そんな日に限って、
毎日続いてたあなたからの連絡は来ないの。
ばーか。
その日の23時52分
『これから話すの少なくなるかも。
でも、俺頑張るから。」
それを境にあなたからの連絡は来なくなったの。
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作者名：ぱんまん。 | 作成日時：2021年10月15日 22時
