甘い ページ9
中本悠太(NCT127)
・
「おまたせ」
「ん」
襟足が伸びた金色の髪に緑の線が入った麹色の浴衣をきた君。
私が近寄るとこちらを見て、そう返す。
言葉にするとそっけなく感じるけど、私を見つめる目は信じられないほど甘いわけで。
「うん、似合ってる」
「ゆうたも」
「このくだり、何年やっても照れるな」
「ふふ、んね」
「じゃ、いくか」
いつものようにサラッと私の手を奪っていく君。
小さい頃から沢山繋いできたからか、君の手は私の手によく馴染む。
小さかった手も、私の手をすっぽり隠すように大きくなった手も、相変わらず私を守ってくれてるね。
でも今までと少し違うのは、左の薬指にある指輪の感触で。
“指輪が落ちないように”って意味わかんない理由つけて、君は必ず私の左手を右手で包むように繋ぐようになった。
“そんな簡単に落ちないよ”
“いいの、黙って包まれてなさい”
って、その時ばかりは年上っぽく偉そうに笑うの。
愛しいね。
「さっき実家でさ、アルバム見つけてね」
「おー、また懐かしいものを」
「でしょ。で、夏祭りいつも2人で行ってたじゃん。その時の写真見つけてね。
私たち口の周りベッタベタにしながらわたあめ食べさせあってた笑」
「うわ、絶対かわいーやつやん。
それ結婚式の馴れ初め動画みたいなやつに入れよ」
「いやだよ、恥ずかしいな笑」
「えー」
「じゃあ、家持って帰って写真立てに飾る？笑」
「うっわ、なんちゅーかわいいことを。
大賛成」
「ふふ」
「…ってあ！あそこにわたあめが！」
「わざとらしいな」
「買っちゃう？買ってしまう？」
「えー、食べ切れるの？」
「うん、もちろん2人で」
「えー、」
「買ってきます」
「はい」
「まさか」
「はい」
ゆうたが買ってきたわたあめを少しつまんで、私の口元に持ってくる。
仕方なくわたあめを口に含むと満足そうに君は笑ってて。
「もう、口ベタベタになったじゃん」
「ふふ」
「なに」
「俺の奥さん、かわい」
「…ばか」
「…ね、ちょっとこれ持ってて」
「うん」
そう言ってわたあめの袋を私に渡すと、
空いた手で私の腰を引き、
「ちょ、」
君の唇と私の唇が触れ合う。
すぐに離れて、鼻が当たるような距離。
「ベタベタの手だと怒るかなって笑
A、甘いね」
「…ほんと、ばか」
「何言われてもいいよ、かわいいから」
・
ただ嫁溺愛悠太を描きたかっただけ。
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作者名：ぱんまん。 | 作成日時：2021年10月15日 22時
