第4話 固い絆 ページ5
諸伏が、降谷たちの通う小学校へ転入したのは1年の夏休みが終わった直後だった。
学校でも3人はずっと一緒に過ごしていた。
「ねえゼロ、リオ。今日も放課後一緒に遊ぼうよ」
以前は少しだけ内向的だった諸伏が、2人を遊びに誘うくらいに仲良くなったのだ。
ところで、この降谷の呼び名である“ゼロ”──これは諸伏がつけたものだ。
そして、降谷とリオは彼のことを“ゼロ”にちなんで“ヒロ”と呼ぶようになった。
降谷とリオは声を揃えて言う。
『もちろんだよ、ヒロ!』
固い絆で結ばれた彼らはとても幸せだった。
そして彼らは6年になっても変わらず一緒に過ごしている。
しかし、降谷だけは外見が周りの子たちと違うからという理由でクラスメイトや他学年の生徒にからかわれることがしばしばあった。
「なあ降谷ー、お前の髪なんで黒じゃねぇんだよ」
「染めてんじゃねぇのー?」
「あとさ、なんか肌黒いよな」
「たしかに! 俺ら日焼けしてもあんなに黒くなんねえよ」
数人の男子生徒たちが降谷をみて笑った。
そんなことを言われて黙っているなんてできるものかと降谷は彼らと喧嘩をすることが多かった。
そして日に日に身体に傷が増えていく降谷をみて、リオと諸伏は心配している。
だから彼らは、その度にやり返そうとする降谷を止めて、彼の代わりに言い返していた。
(卒業すれば、もうこんなこともなくなるはずだから…)
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作者名:リオ | 作成日時:2023年3月31日 11時