第22話 勘違い ページ23
随分と歩いた気がする。
そして未だにリオの左手首は松田に掴まれたままだ。
気づけば、どこかの公園に来ていた。
松田は何も言わずにそっと手を離しベンチに座った。
そして、リオに目配せをし彼女を隣に座らせた。
「……ねぇ松田、なんで急に──」
そう言いかけたリオを遮って松田は言った。
「お前、萩原のこと好きなんか」
「…は? 何言ってんの急に」
思いもしない発言に驚く。
「っだから! お前ハギのことべた褒めしてたじゃねえか。だから…そういうことかって……」
必死に話す松田と意味がわかっていないリオは正反対のようだ。
「いや別に萩原のこと尊敬はしてるけど男として好きなわけではないよ」
「えっ」
「だって私そんなこと一言も言ってないじゃん」
確かにそうだ。
リオは、諸伏に「萩原のことが好きか」と訊かれたときに少し怪しい反応をしたが、客観的に見てそのようなことは一切口にしていない。
「っはぁああ……なんっだよ、焦って損した」
と、ここで会話が途切れた。
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作者名:リオ | 作成日時:2023年3月31日 11時