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第9話 綺麗 ページ9
居酒屋を出て目を上に向けると、真っ暗な空に青い星が点々と光っていた。
「綺麗、ですね」
「うん、綺麗やな」
その星を見つめる君の横顔も綺麗だ──なんて思ってみる。
ちょっとだけ恥ずかしくなった。
「あ、私あっちなんで」
「そっか」
山本が車を停めている駐車場とは反対方向を指したリオに、彼は勇気を振り絞って言った。
「……あ、あのさ、よかったら家まで送っていくけど」
「あ、大丈夫です」
何の躊躇いもなく彼女は断った。
「……あ、そう？」
「はい。じゃあ、今日はありがとうございました。また明日」
「ああ、うん……また、明日…」
まさかあそこまではっきりと断られると思ってもみなかった。
(なんか泣けてくる。まだ告白して振られたわけでもないのに。いや振られる予定はないけど)
彼女が行きは車で一緒に行ってくれたため帰りも一緒に乗ってくれると思っていた山本は、正直少し──いやかなりショックだった。
でもここで諦めるのは彼らしくない。
先ほどの表情とは一変、覚悟を決めた顔になった。
(絶ッ対振り向かせたる)
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作者名：リオ | 作成日時：2023年3月13日 14時
