片想いからはじまる恋物語。【山本由伸】 (ページ8)

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第8話気まずいページ8

「好きな球団どこ？」

いきなり好きな人はいるかなんて、とても訊けない。
にしてもその質問のチョイスはどうなんだ、とツッコミたくなる。

「え、あー。広島カープです」

「え」

「え？」

「オリックスじゃないん？」

「あ」

答えのチョイスを失敗した。
オリックスの選手相手に、「カープファンです」なんて言うのは失礼すぎだろう。
しかも自分はオリックスの球団職員なのに。

あとから後悔がどっと押し寄せてくる。

「いやでも、オリックスも好きですよ。選手の皆さんとても優しくて」

このフォローの仕方は逆に不自然だっただろうか。

「あ、そう。なら嬉しい」

山本も少し気まずそうにしている。

空気が少し悪くなった
さっきまで良かったのに、たった一言で変わってひまうなんて。
同級生でも、こんなに時間が空くだけでここまで距離ができるとは思ってもみなかった。

時計を見ると、来てから約1時間が経過していた。

「そろそろ、解散にしますか？」

「うん、そやな」

初めて出かける相手と解散するにはこの時間がちょうどいい。
それに、この気まずい空気をどうにかしたい。

会計は山本が払うと言ったが、リオがそれはできないと譲らなかったため、結局割り勘になった。