Fischer's BL短編集 (ページ9)

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③ ページ9

モトキは自分の泣き声でドアを開ける音が聞こえなかったようだが、寝室に入ってきたたシルクがそこにいた。

モ「し、シルク、いつの間に帰って……」

シ「そんなことはどうでもいいから。なんで泣いてんのって聞いてんじゃん。」

シルクは少し焦ったように話す。

　「なに、何か辛いことでもあったの？話聞くから──」

モ「っもう…いいから！」

そのシルクの心配そうな声を遮ってモトキは叫んだ。

シ「っは？何がだよ、俺はお前のことを心配して……」

モ「それも、嘘なんでしょ…？」

　「俺のこと好きって言ってくれたのも…！」

　「そんな嘘、つかなくていいよ……」

シ「う、そ…？いや、俺がそんな嘘つくわけねえだろ！」

シルクへぶつけるように、続けざまに言ったモトキは立ち上がり、シルクを押しのけるようにして寝室を後にしようとする。

モトキを引き止めようと彼のそばに行こうとしたシルクに彼は

モ「来ないで……！」

と顔を背けた。

そして下を向いたまま続けた。

モ「ユナ、って誰？」

浮気相手の名前がモトキの口から聞こえたシルクは表情を硬くした。

　「俺、今日見たんだ。シルクと腕組みながら一緒に歩く女の子。シルク、本命の子、いたんだね。しかも超可愛い“女の子”」

あえて“女の子”を強調したモトキは、ドアを閉めて出ていった。

モトキを引き戻す力もなくなったシルクは、絶望に満ちた顔をしていた。

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今回は少し長めです。

まだ続きますので、ぜひ読んでください。