希望 【４】

０９ ページ9

S.Natori











山田にAの事を頼まれて改めて戸惑った。
まだ諦めてはいない、そう思ってた…けど、諦めていないからの決断なのか。












『……んっ……眠っ……』










名取「……っておい、ソファーで寝るな。」












『……山田……』










Aはもう疲れきって既にもう夢の中だった。
大学時代もこうだったっけ…レポートに追われて寝不足で…











名取「……ったく……」











ドシャッ！












名取「……やべっ！」













机の上にあったAの鞄を落としてしまい、中の物が全部出てきた。
その中にふと目に写った物…











名取「なんだ、これ……？」










‪”‬妊娠 13週‪”‬
俺の目に飛び込んできたのはその文字だった。











名取「妊娠って…」












俺は急いで鞄の中にその検査結果の紙をしまった。












・











『……おはよ。』










名取「あぁ、はよ。」










翌朝、家が近い事もあって俺はAを迎えに行った。
……昨日の検査結果が気になりながらも、一緒に歩いて向かう。











『……なに？』











名取「あ、いや…」











『なんかあるんじゃないの？ハッキリ言って欲しいんだけど。』











名取「……なぁ、A……結婚、しよう。」












『……はっ……？』











なんて声を掛ければいいか迷った挙句、
俺は俺らしくない言葉をAに掛けていた。











名取「いや、そうじゃなくて…だな。違うんだ、」











『なに、もしかして見たの？あの検査結果。』












名取「……。」












『だからって、結婚しようって…それは違くない？』











名取「……じゃあ、付き合ってから……」











『じゃあ、ってなに？？じゃあって。ほんと、最低。』











名取「……あ、ちょ、A……！！」













俺にそう吐き捨てたAはどんどん先に歩いて行ってしまった。
……やっぱ俺にはわかんねぇよ、山田。

１０→←０８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す