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M.Siraisi













…さっき、ICUでAを見た時無理して笑っているように見えた。
冴島さんと同じで、一人で抱え込む事も多い彼女だから、













私たちシニアドクターで何かと気にかけては居たんだけど、
プライベートなことまでは聞けるはずもなく、












白石「お疲れ様。」













『お疲れ様です、いいんですか?』













白石「うん、今日は私の奢り。」














どうやって細かいことを聞こうか悩んでいた。
Aに甘めのコーヒーを渡す。












この子は昔からブラックが飲めないから。
そんな所は、唯一変わってないところかもしれない。













『で?どうしたんですか?改まって。』













白石「最近、悩んでることないかなぁって。」












『……??』













白石「いや、スタッフリーダーとして気にかけてはいるのよ。
Aも何か悩みがあれば言って欲しくて。」













『…いえ、私は何も。恵ちゃんは、優しいんだね。』














白石「A…」














『私は大丈夫、心配しなくて。』














白石「A、ダメよ。そうやってまた…」













『平気だから、もうあの頃の私じゃない。
事故に巻き込まれた時は思ったよ、もうここで死ねるんだって。』












Aはちゃんと私に向き合って、少し本音を話してくれた。











『でも、私は大丈夫。
私も医者…フェローなんだから、自分のことは自分でわかってる。』













白石「でも、ほんとに何かあったら言って。」













『…わかった、ありがとうございます。これ、頂きますね。』














あの子が、一番育てるのに難しいかもしれない。
でも…今はただ、見守って、一人前に育てるしかない。












白石「…よし、戻ろう。」













私はドクターヘリを一度見て、中に戻った。
この後、Aたちに起こる身なんて想像も付かずに。

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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2023年11月29日 8時

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