特命係 ページ7
Youside
特命係、そう書かれた部屋の前に私はいる。
…なんでこうなったのかは前話を見ればわかるだろう。
私はあの後薫ちゃんに連れられて特命係へと訪れた。
「右京さん。」
「はい?」
「Aを少し休ませてもいいですか?」
「構いませんよ。」
杉下さんはそう言って少し微笑んで、立ち上がった。
「鍵等さんは紅茶派ですか?それともコーヒー?」
『あ、えっと…どちらかと言えば、紅茶です。』
「わかりました。」
「んで?部長達に何言われたんだ?」
『えっ?』
「何か言われたから泣いてたんだろ。」
薫ちゃん…それ、普通聞くことですか?
まぁ薫ちゃんは悪気が無いのはわかってるけど。
「君、それを聞くのはどうかと思いますかねぇ。」
「え…ダメだったか?」
『あ、いや…別に大丈夫なんだけど…。』
杉下さんは察しがついているのか空気を読んでくれたのか、フォローをしてくれていた。
『…部長達に、戻ってこないかって言われた。』
薫ちゃんの顔を見てその後ろにいた杉下さんのこともちらりと見たが、紅茶を回しているスプーンの手が一瞬止まっていたがすぐに動いた。
「…それで、Aはなんて答えたんだ?」
『私は…戻る気は無いって答えたよ。』
カチャッ
私の目の前に置かれた紅茶。
すぐに手に取っていれてくれた紅茶を一口飲んだ。
「…俺は…Aの意見を尊重するよ。
だけどな、戻ってきて欲しいと思う。
あの時守れなかったのは俺の責任でもある。」
『…薫ちゃんの、薫ちゃんのせいじゃない。』
「僕も先に気づいていればあんな事にはなりませんでした。」
杉下さんまで後悔をしている…その事件の話をするのは、もう少し先になりそうだ。
『私も戻りたいとは思ってる…でもね、まだ決心がついてない。
捜一に戻れば憲ちゃんもいるし、特命係にだって薫ちゃんはいる。
どうしたらいいか、私にはわかんないんだ。』
この先どうしたらいいのか、私にはわからない。
そんな気持ちで毎日毎日すごしてる。
薫ちゃんと杉下さんはこれ以上何も言わず、ただ一緒にいてくれていた。
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Rei - いつもゆうりさんの作品を見て感動してます!!応援してます!!頑張ってください!! (10月22日 20時) (レス) @page17 id: 1ac691a90a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年9月14日 23時