桜、同じ國の庭に咲く＿＿【相棒】 (ページ38)

今日:25 hit、昨日:20 hit、合計:15,403 hit

強盗事件ページ38

Noside

病院に着けば幸い刺されたところの傷は深くなかったが、念の為車椅子で警視庁まで移動していた。

「鍵等さんのお兄さん、智弘さんを殺害したのは貴方ですね。

…佐伯秀悟さん。」

右京の目の前に座っていたのは、あの佐伯だった。
佐伯は笑っていて何を考えているかわからない。

「殺害した動機は、Aさんですね？」

「…アイツは…アイツはAの事を凄く可愛がってた。」

「…貴方は智弘さんと親友でしたね。」

「え…右京さん？」

『親友って…。』

右京が胸ポケットから出したのは、佐伯と智弘が仲睦まじく映っている一枚の写真だった。

「貴方と智弘さんは大学時代の同級生です。」

「だけど同級生がどうしてこんなことを。」

「貴方はAさんのことを智弘さんから聞いていた。
そして初めてあったのが五年前。」

『五年前って言うと例の…。』

「えぇ、強盗事件があった時期です。
智弘さんは気づいてたのではありませんか？

貴方が強盗事件の犯人だということを。」

Aは右京の顔を見たあと、佐伯の顔も確認し机にある写真を再び確認した。

「あぁ、アイツは俺の家に遊びに来たことがあったんだ。
そんときに見られたんだよ。

クローゼットの奥に隠しておいた、盗んだ宝石類。
それにアイツは俺にこういった。

"自首しろ"ってな。だけど後から聞いたんだ。
その事件を解決すれば、警視庁に戻れるってな。

そんな事のために俺は逮捕されるのか、そう思ったら。」

『それだけの為に…それだけの為に、

兄を、兄を殺したんですか！？』

「…あぁ、お前に会いたい一心でその捜査をしていた。
俺はそんなやつの為に捕まるわけにはいかない。」

『だからって…だからって殺すなんて…！』

「A！」

薫は肩を優しく支えて、崩れ落ちそうなAを支えるが頬に涙が伝っているのがわかった。