笑った顔の方がいい。 ページ25
Youside
花の里から帰り途中、ふと薫ちゃんが私の前で立ち止まった。
『薫ちゃん。』
「ん?」
『ありがとね、私を戻してくれて。』
「別に、その礼…伊丹にも言ってやれよ。」
『うん。』
薫ちゃんは何でそこまで、私を警視庁に戻したかったんだろう。
『ねぇ薫ちゃん。』
「なんだ?」
『…あの、さ。』
「ん?」
『なんで私を、警視庁に戻したかったの?』
それに私をずっと気にかけてくれてるのも、薫ちゃんや憲ちゃんだし。
『私が、妹だから?』
「違ぇよ。先輩の妹だからとか、同期だからとかじゃなくて。」
『薫ちゃん?』
「…馬鹿かお前、警視庁に居ればお前も仕事できる。
それに俺も一緒に仕事ができるしな。」
『薫ちゃん…。』
「お前はそんなこと深く考える必要はねぇんだよ。
これから忙しくなるぞ、A。」
薫ちゃんは私の頭を急に撫でてきた。
『ちょ、か、薫ちゃん!?』
「ほんと、しょんぼりした顔より笑った顔の方がいいな。」
『ばっ…ばっかじゃないの!』
"お前は笑った顔の方がいいよ。"
薫ちゃんを見てみれば、お兄ちゃんの顔が浮かんできた。
『お兄ちゃん…。((ボソッ』
「A?」
『う、ううん!なんでもない、帰るよ!』
「うわ、おい!」
私は薫ちゃんの手を掴んで走った。
薫ちゃんがお兄ちゃんとそっくりだなんて、言ったら怒るよね。
なんなんだろう、この気持ち。
お兄ちゃんとはまた違った好きになるのか。
私がこの気持ちに気づくのは、もう少し先の話になる。
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Rei - いつもゆうりさんの作品を見て感動してます!!応援してます!!頑張ってください!! (10月22日 20時) (レス) @page17 id: 1ac691a90a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年9月14日 23時