約束 ページ22
Youside
早田さんが兄を殺していないなら、一体誰が。
そんなことを考えながら警視庁近くのベンチに座った。
「浮かない顔してんじゃねぇ。」
『…憲ちゃん。』
「あの鈍亀、A置いてくなんて情けねぇやつだな。」
憲ちゃんはそう言いながらベンチの腰掛け部分に手を着いた。
「鈍亀で悪かったな、タタミ。」
「伊丹だ馬鹿野郎って…お前聞いてたのかよ。」
「テメェと二人きりにさせられっかよ。」
「ほんとお前…Aのことだ「だぁー!アホかお前!」」
同期二人でなんだか楽しそうな会話をしてるし、何なんでしょう。
「お前、これからどうすんだよ。」
『どうするったって…そりゃ、兄の直接の死因を調べるしかないじゃん。』
「警視庁、戻らねぇのか?」
『えっ…。』
「こちとら退屈してんだ、虐める相手が亀しかいねぇからな。」
「おい、虐めるってなんだよ。」
相変わらずの憲ちゃんに苦笑いだ。
「警察手帳もありゃ、調べやすい。」
『そんなことわかってるよ。でも…。』
怖いんだ、また兄みたいに誰かを死なせてしまうんじゃないかって。
それがこの二人だったら…私の大切な人達だったらって思うと。
「安心しろ。」
『薫ちゃん?』
薫ちゃんは私を視線を合わせる為に隣に座った。
「俺は…俺らは死なねぇよ、お前を守るって決めたんだからな。」
『薫ちゃん。』
「ったく…お前ら惚気てんじゃねぇよ。」
『の、惚気けてなんか!』
「その元気があれば大丈夫そうだな。」
『憲ちゃん。』
「俺も約束したんだ、先輩とな。」
『え?』
「どんな約束したんだよ。」
「…るせぇ!亀には関係ねぇだろ!」
・
伊丹は数年前、智弘が教育係だった時のことを思い出していた。
「なぁ伊丹。」
「なんですか。」
「もしもだぞ、俺に何かあったらAを頼んだぞ。」
「はっ?何言ってるんすか?」
「まぁ、そのもしもの時の為だ。俺は言ったからな。」
それがこの時のことを意味していたとは、伊丹も思いはしなかっただろう。
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Rei - いつもゆうりさんの作品を見て感動してます!!応援してます!!頑張ってください!! (10月22日 20時) (レス) @page17 id: 1ac691a90a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年9月14日 23時