桜、同じ國の庭に咲く＿＿【相棒】

警察用語 ページ16

Noside





Aは特命係に戻り、謎解きを始めた。
その準備として、ホワイトボードに暗号の換字表を書出した。





表の上段には、AからJのアルファベットに対応するよう、0から9の数字が割り振られている。





表の下段は五十音表で、あいうえおの各段に12345が、あかさたな…の各行頭には1020304050…が、わをんの音には101102103が割り振られ、さらに＋が濁点、一が半濁点、下線が小文字に対応していた。






『言葉は論理です。
一見意味不明の英数字の羅列に見える手帳のメモにも法則があります。』





「つまり、手帳のアルファベットは数字を意味し、数字は五十音を意味するってことか。






よく気づいたな。｣





『サンキュー、薫ちゃん。





じゃあ初めにアルファベットがAからJまでの十文字しか使われていないことに注目しました。





数字に関しては五十音の母音と子音の関係で家庭を立てると意味が見えてきます。





そうですよね？杉下さん。』






「えぇ、"たいじら"と"てんぷら"。
先程の刑事たちが言っていた言葉と同じくひっくり返すと。」






「"じらたい"と"てんぷら"。」





『…そう、自動車警邏隊のことを指す。
恐らく"てんぷら"は偽造ナンバープレートとのこと。





そのことを警察用語でテンプラナンバーと言いますからね。





以上の法則を踏まえて手帳のメモを読み解くと、兄が何を調べていたのかが推理できます。』






「智弘さんが調べでいたことか。」





『埼玉中央署の部署名と個人名、担当した案件とその協力者の名前、そしてそれに対する謝礼金の金額…問題なのは協力者へのキックバックの金額が記されていたこと。』





「謝礼金を受け取る協力側がキックバックをもらうのもおかしいですよね？」





「一般的に謝礼金の領収書というのは裏金作りの温床となることが多い。





領収書を提出しても実際には謝礼金は支払われずループされる。
また、協力者をねつ造するわけにはいきませんからね、警察のOBや関係者を巻き込んでキックバックという形で謝礼金の一部を渡す…という仕組みが見えてきますね。」





『兄は埼玉中央署の裏金作りを調べていた。





それで殺されたんだ…。』






「手帳のメモはあくまでも断片に過ぎないでしょう。
智弘さんはより詳細なデータを所持していたはずですよ。」

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