ゼイチョー「払えない」にはワケがある 【１】

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Youside










「見てくださいよ。この花だって造花ですよ〜。」










『…鍋島さん、
あなたは再三の督足や催告に応じてくれていません。










次は滞納処分…
家宅捜査による差し押さえを講じることになりかねませんけど。』










「それならそれで仕方ありません。でも差し押さえようにも、
税金の埋め合わせになるようなものなんて何もありませんけどね〜。」









『…あの。』









帰り際、少し気になったからやってみるか…











『御手洗、借りてもよろしいですか？』











「え？」










佐治さんに御手洗の場所を案内してもらい、中に入る。
そして暫くしてドアを開けて廊下に人が居ないことを確認した。










『…やっぱり何もないかぁ…』











仏壇の中を見るのも少し気が引けるが、










「何をやってるんですか？」










手を伸ばそうとした瞬間に鍋島さんが来ていたのに気づかず、
私は振り返った。










『あぁ、いや、これは…』









「今の役所の人間はこういう事もするのか？」









やばい、責められる…









「白雪さん？」









ﾄﾞｸﾝｯﾄﾞｸﾝｯ









『…は、浜村…』









「良かった、饗庭さんが遅いって心配してたんで。」









浜村に腕を優しく掴まれて「なべしま」宅を出た。










『…浜村…』










「もぉ〜、マジで焦りましたよ…
白雪さんいつも無茶するんですから！」











『ご、ごめん。』











「まぁでも、何事もなくて良かったです。
あのまま一人で居たら何されるかわからなかったですから。」









「急に居なくなったと思ったらまた一人で行動。
普通臨宅は二人一組のコンビで行く、そう言ったよな？」









『…ごめん。』









「まぁまぁ、何も無かったんですから。
いいじゃありませんか、饗庭さん。」









やっぱり、怒ってるよね…饗庭。
その場はなんとか浜村のおかげで喧嘩にならずには済んだ。

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