信長協奏曲 Part Ⅰ (ページ28)

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Aside

おゆきちゃんが何かに迷っているのには、若干気づいた。
それとも私たちのお土産に遠慮しているのか。

「いかがした？」

「受け取れませぬ。」

「どうして？」

「遠慮することないよ。おゆきちゃん。」

「そうだよ。絶対似合うって。」

「受け取れませぬ！」

「おゆき？」

私とサブローは、おゆきちゃんが声を上げて訴えていて、
それに少し顔を見合わせて驚いた。

「私は…私は…朝倉の、間者です。」

「何をそのようなざれ言を…。」

「誠です。私はずっと、帰蝶様を欺いていました。
それに…信長様を撃とうとして、A様を撃ったのは私です。」

「え？」

私にしては、少し低い声が出てしまい自分でも驚いた。
裏切りは、戦国に来て多少は慣れてきたとは思ったけれど。

おゆきちゃんが、朝倉の間者だとは私はさすがに見抜けなかった。
だからこんな自体も招いたんだと今、心の底から思った。

「嘘であろう？ゆき！」

「申し訳ございません！」

「何それ…おゆきちゃんまで、信長様を裏切るんだ。」

…もう、何もかもどうでもよくなりそうだった。

ここに来て、本当に辛いことはこういうのがあったときだと、
今回も思い知らされた。